キャデラックSTSに搭載されるエンジンはV型8気筒の4.6LとV型6気筒の3.6Lの2機種。V8エンジンは従来のモデルに搭載されていたのと基本的に同じノーススターエンジンだが、SRXやXLRなどの新世代キャデラック用に改良が加えられ、パワー&トルクの数値も238kw/420N・mにまで向上している。
当然ながら動力性能の余裕は十分で、重量級のボディを苦にすることなく、ぐいぐい加速する豪快な走りを示してくれる。クルージングに入れば、排気量の余裕から回転数は低く抑えられ、静かで滑らかな走りが可能。足回りはパーソナル設定によって切り替えが可能な電子制御式で、硬めの設定を選ぶとけっこうしっかりした感じの乗り味になる。高架道路の継ぎ目部分ではゴツゴツ感を感じるほどで、従来のキャデラックのイメージとは異なるスポーティな印象の足回りである。
新開発のV型6気筒エンジンは、吹き上がりのフィールが軽快で、とても好感の持てるもの。189kw/342N・mのパワー&トルクは、V8ほどの余裕はないものの、実力的には十分にボディに見合っている。軽快さや価格の安さなどを考えると、トータルでお勧めできるモデルになりそうだ。
キャデラックといえば、豪華な最上級グレードでないと意味がないという考え方があるのは当然のこと。そうした選び方をするユーザーに支えられてきたクルマである。ただ、今回のモデルではV型6気筒の3.6Lエンジンのデキが良い。これをチョイスするのがリーズナブルな選択になる。