中古車の購入前に知っておくべきトヨタヴィッツ、ヤリスの特徴とおすすめグレード
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(株)コリズム CORISM代表取締役/編集長
「日本カー・オブ・ザ・イヤー」実行委員
- 略歴
一般社団法人 日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。
自動車専門誌編集長を経て、2011年に自動車情報専門サイト「CORISM」を立ち上げ。自動車メディア経験は30年以上。年間約50台のクルマに試乗し、評価している。
XP130/XP150型トヨタヴィッツ、KSP210/MXPA1♯/MXPH1♯型トヨタヤリスについて
トヨタヴィッツとヤリスは、実質同じ車種です。もともとは、ヴィッツとして日本国内で販売されていた車の海外での車名がヤリスでした。
2020年のフルモデルチェンジを機に国内での車名も「ヤリス」へと変更され、名称が統一されました。ヤリスはデザインやエンジン性能、安全装備などが刷新されています。
この記事では、3代目(XP130/XP150型)ヴィッツと後継車(KSP210/MXPA1♯/MXPH1♯型)のヤリスに絞って紹介していきます。
XP130/XP150型ヴィッツの特徴

3代目にあたるXP130/XP150型ヴィッツは、2010~2020年に販売されたコンパクトカー。1999年からの約10年間で国内累計販売台数140万台を超えるトヨタブランドの基幹モデルです。
全長3,885mmというコンパクトなボディながら、室内長は従来型に比べて35mm延長され、1,915mmというゆとりの空間を実現しています。
XP130/XP150型ヴィッツの外観は、軽快さ&上質感をコンセプトに、風のながれを意識したデザインなどにより高い空力性能を実現。低燃費や高速走行時の走行安定性に貢献しています。
インテリアは、スポーティさの中に優しさを感じられる造形を追求。インストルメントパネルから左右のドアトリムまでつながるようにパッドを配してワイド感と上質感を漂わせています。
搭載しているエンジンは、1KR-FE型1Lガソリンエンジンをはじめ、1NR-FR型1.3Lガソリンエンジン。そして1NZ-FE型1.5Lガソリンエンジンの5種類です。トランスミッションはCVTを中心に1.5Lガソリンエンジン車に5速MTを設定しました。
駆動方式は2WDを中心に1.3Lガソリンエンジン車に4WDが用意されています。またアイドリングストップ機構を採用した“スマートストップパッケージ”を1.3Lガソリンエンジン2WD車に設定し、当時クラストップの26.5km/Lという優れた燃費性能を発揮しました。
安全装備は、EBD付ABS&ブレーキアシストを全車に標準装備。また、SRSサイドエアバッグとSRSカーテンシールドエアバッグを全車にオプションで設定しています。
さらに、後方から追突された際に、背中がシートに沈み込み、頭と背中を同時に支えて、頸部への衝撃を緩和するWILコンセプトシートを採用しました。
一部改良とマイナーチェンジの歴史
※1)スマートストップパッケージ:アイドリングストップ機能
※2)Fスマイルエディション:Fをベースとした特別仕様車
※3)トヨタセーフティセンスC/ヒルスタートアシストコントロール:安全運転を支援する衝突回避支援パッケージ
※4)プリクララッシュセーフティ:トヨタセーフティセンスで、昼間の歩行者も検知対象に加えたもの
XP130/XP150型トヨタ ヴィッツのグレード解説
デビュー当初のXP130/XP150型ヴィッツのグレード構成は、4タイプです。
1L、1.3Lエンジン車にFとジュエラを設定し、1Lには装備が簡略化されたF “Mパッケージ”。1.3Lにはアイドリングストップ機構を採用したF“スマートストップパッケージ”を設定。
1.3Lと1.5Lエンジン車にU。1.5Lエンジン車のみにRSとRS Cパッケージを設定した。
駆動方式は2WDを中心に1.3Lエンジン車にのみ4WDを設定する。
2011年には1.3Lエンジンを搭載したUとジュエラにも“スマートストップパッケージ”を拡大。
2014年に1.3Lエンジンが変更されたマイナーチェンジでは、RS Cパッケージが廃止され、1Lと1.5Lエンジン車にも“スマートストップパッケージ”が拡大している。
2017年にハイブリッド車が追加されたマイナーチェンジで、1.5LエンジンとRSグレードが廃止され、その代わりに1.3Uにスポーティパッケージを設定している。
ハイブリッドは、F、ジュエラ、UそしてUスポーティパッケージの4グレードが用意されており、駆動方式は2WDのみです。
XP130/XP150型ヴィッツは数多くの特別仕様車が設定されましたが、基本的にはベーシックなFをベースとしていて、予防安全パッケージの「トヨタセーフティセンス」やスーパーUVカットガラス、盗難防止システムといった人気の高い装備を追加したモデルとなっています。
XP130/XP150型トヨタ ヴィッツ中古車の注意ポイント
中古車の購入で注意して欲しいのは、リコール情報や、モデルごとの安全装備などの違いです。
XP130/XP150型ヴィッツにもリコールの届け出はされています。助手席側後席リアガラスや電動式パワーステアリングコンピュータの不具合があるので、中古車の購入時には対策済みかどうかの確認をした方が良いでしょう。
中古車でXP130/XP150型ヴィッツを探す場合に、ランニングコストを下げたければ、アイドリングストップの『スマートストップパッケージ』ではない車を選択するのが良いと思います。燃費の向上に一定の効果があるアイドリングストップ機構ですが、デメリットはしてはバッテリー費用が高いことです。
XP130/XP150型ヴィッツは、2014年と2017年の2回マイナーチェンジを行っています。この2つの年に加えて、覚えておきたいのが、トヨタセーフティセンスを設定した2015年です。
安全性能が備わっている、かつ充実している方が購入後の満足度が高いことを考えると、トヨタセーフティセンスが装着された2015年式以降を選ぶのがオススメです。
グレードは4グレードが設定されていますが、快適装備が充実したUと、Fをベースにトヨタセーフティセンスなど人気装備を追加した特別仕様車を狙うのが良いでしょう。
XP130/XP150型トヨタ ヴィッツの年式とグレードと中古車相場
トヨタヴィッツのオススメは、2018年に設定された特別仕様車のFセーフティエディションIIです。
現在と比較すると、古いものは正直物足りなく感じるかもしれませんが、運転支援システムを装着しているかいないかはドライバーの負担が大きく変わります。
そのため、XP130/XP150型ヴィッツの中古車のおすすめは2015年の一部改良より後の車で、さらに機能が充実したトヨタセーフティセンスを採用した2018年以降の車になります。
2018年式以降の車でも、すでに100万以下で手に入るようになっています。歩行者を検知するトヨタセーフティセンスを搭載した車です。
本音を言えば、快適装備が充実したUグレードを選択したいところですが、中古車の流通台数が少なめ。そこで、スタンダードグレードのFに特別装備としてトヨタセーフティセンスやインテリジェントクリアランスソナーを特別装備した特別仕様車の1.3FセーフティエディションIIでも100万円以下で手に入る。
中古車価格のボリュームゾーンは約70〜約90万円で、新車時価格の50%で手に入る。また、流通台数はかなり少ないが、ほぼ同じ価格帯でハイブリッドの同じグレードも手に入れることができる。走行距離は3〜4万kmという車が多くまだまだトラブルとは無縁の車が多い。
P130/XP150型トヨタ ヴィッツの安さ重視のお勧め年式とグレードと中古車相場
XP130/XP150型ヴィッツの中古車は、すでに50万円以下の車も流通しています。ここでは、予算50万円以下、100万円以下の場合のおすすめモデルについて紹介する。
予算50万円以下のおすすめモデル
※中古車相場は2024年3月調べ
予算50万円で、XP130/XP150型ヴィッツの中古車を探すとしても、運転支援機能のトヨタセーフティセンスにはこだわりたいところです。
2015年以降でなら、優れた燃費性能を実現している1.3Lエンジンを搭載したFグレードを選ぶのがオススメです。
中古車の価格帯は約40〜60万円、低めの予算を考えると金額に幅があります。流通台数も多くないものの、探せば出会えます。
エアコンはマニュアル式になりますが、低価格の中古車を探す場合は、欲しい機能の優先順位を絞っておくと良いでしょう。あれこれ迷わずに済むので、納得のいく良い買い物ができると思います。
予算100万円以下のおすすめモデル
※中古車相場は2024年3月調べ
予算100万円ならば、2017年に登場したハイブリッド車も手が届く金額です。XP130/XP150型ヴィッツの中古車は、ハイブリッド車で流通台数が多いベーシックモデルのFグレードをおすすめします。
中古車価格のボリュームゾーンは、約60〜100万円です。しかも進化したトヨタセーフティセンスが装着されているので、購入者の満足度は高めです。
流通台数は豊富とは言えませんが、走行距離は7万km付近が中心のなかで3万km台の車も見つかります。
また、トヨタ系ディーラーの認定中古車も100万円で手が届くので、少しでも安心な車に乗りたい人には認定中古車た車がおすすめです。
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KSP210/MXPA1♯/MXPH1♯型トヨタ ヤリスの特徴

XP130/XP150型ヴィッツの後継車として、2020から2024年3月現在まで販売されているトヨタのコンパクトカーが、KSP210/MXPA1♯/MXPH1♯型初代ヤリスです。
国内ではヴィッツというネーミングで販売されていましたが、最新モデルは海外で使用されている名称のヤリスに統一されました。
KSP210/MXPA1♯/MXPH1♯型ヤリスのボディ骨格は、新開発されたコンパクトカー向けのTNGAプラットフォームが採用されています。
従来型に比べて車両重量が50kgの軽量化、同時にねじり剛性が30%以上強化されました。さらに車両の重心高を15mm下げることで、優れた操縦安定性と上質な乗り心地を両立しています。
外観は、今にも走り出しそうな、無駄を削ぎ落とした凝縮したデザインが採用されています。インテリアデザインも外観同様にシンプルに広さと快適さを確保しつつ、ドライバーが運転に集中できる空間となっています。
インパネの断面を薄くすることで、ワイド感を強調。さらにハンドルを従来型より小型化することで、室内はより広くスポーティな印象です。
KSP210/MXPA1♯/MXPH1♯型ヤリスに搭載されるパワートレインは3種類です。1Lガソリンエンジンをはじめ、高速燃焼技術などを採用した新開発の1.5Lダイナミックフォースガソリンエンジン。そして、この1.5Lガソリンエンジンにモーターを組み合わせた新世代のハイブリッドシステムです。
組み合わされるトランスミッションは新開発のCVT。なかでも1.5Lガソリンエンジンには発進用ギア付のダイレクトシフトCVTユニットを採用し、低速域での伝達効率が大幅に改善されています。また1.5Lガソリン2WD車には6速MTが設定されています。
駆動方式は2WD(FF)を中心に1.5Lガソリン車には4WD、ハイブリッド車にはモーターで後輪を駆動させるE-Fourが用意されました。燃費性能はより実燃費に近いWLTCモードで、1Lガソリン車が20.2km/L、1.5Lガソリン車が19.2~21.6km/L、そしてハイブリッド車は30.2~36.0km/Lという優れた燃費性能を実現しています。
運転支援システムは、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を標準装備(X Bパッケージを除く)。
衝突被害軽減ブレーキのプリクラッシュセーフティは昼間・夜間の歩行者検知および昼間の自転車運転者の検知が可能です。さらに右折時の対向直進車や右左折後の横断歩行者も検知対象となり、万が一の交差点事故への対応範囲を拡大させています。
また、低速時の事故予防をサポートする「低速時加速抑制」機能をトヨタ車として初搭載しました。この機能は自車の直前にいる歩行者、自転車運転者、車両をミリ波レーダーと単眼カメラで認識。前方に対象物がある状況で、停車または徐行状態からアクセルペダルを必要以上に強く踏まれた場合にはエンジン出力を抑制または弱いブレーキをかけるというものです。ペダルの踏み間違いによる事故の回避または被害軽減に効果を発揮します。
加えてトヨタ車初となる最新鋭の高度駐車支援システム「アドバンスド・パーク」が採用されました。この機能は駐車時にハンドルだけでなく、アクセルやブレーキも制御し、駐車に必要な操作の支援を行う。最新の繋がる機能(コネクティッドサービス)ではスマートフォンとの連携可能なディスプレイオーディオおよびDCM(車載通信機)を全車に標準装備。スマートフォンとの機能を連携するとともに、全てのユーザーがコネクティッドサービスを利用することができます。
一部改良の歴史
※プリクラッシュセーフティの検出対象範囲:交差点での出会い頭の車両や自動二輪車へ拡大
KSP210/MXPA1♯/MXPH1♯型トヨタ ヤリスのグレード解説
デビュー時のKSP210/MXPA1♯/MXPH1♯型ヤリスのグレード構成は、3タイプ展開でした。
1Lエンジン車はXとGさらにXの装備を簡素化したBパッケージの3種類。
1.5Lエンジン車はX、G、Zの3種類で、トランスミッションは6速MTとCVTの2種類。駆動方式は2WDを中心にCVTに4WDを設定しています。
ハイブリッド車もX、G、Zの3種類。全グレードで2WDと4WDを選択できます。
2022年にエントリーグレードのX Bパッケージが廃止されました。
KSP210/MXPA1♯/MXPH1♯型トヨタヤリス中古車の注意ポイント
中古車の購入で気を付けて見て欲しいのは、リコール情報の有無や、モデル別の安全装備などの違いです。
KSP210/MXPA1♯/MXPH1♯型ヤリスでもリコールは届け出されています。
前輪ロアアームのボールジョイン取付部に耐久性が不十分のため、腐食して亀裂が生じることがあるとなっています。中古車を購入時は、交換してあるかどうかを確認するようにしましょう。
XP130/XP150型ヴィッツとは異なり、KSP210/MXPA1♯/MXPH1♯型ヤリスの中古車はハイブリッド車が中心となっています。
また、2024年1月に外観デザインを変更する一部改良を行っていますが、流通している中古車は、一部改良前のものが中心です。
ハイブリッド車は上級グレードから流通台数が多いのですが、ガソリン車はエントリーグレードのXのほうが流通台数が多くなっており、パワートレインによってグレード分布が異なります。
また、グレードによって装備差が大きいため、おすすめは最上級グレードの『Z』です。3灯式フルLEDヘッドランプをはじめ、合成皮革+ファブリックのコンビシート。シートヒーター機能、ナノイー、LEDアンビエントライトなどが標準装備となっています。
ハイブリッドZの新車価格は249万6000円ですが、モデル初期の2020年式であれば、約160〜200万円が価格のボリュームゾーンとなっています。
すでに新車価格の80%まで値落ちしているものの、けして安いとは言いづらいところです。
とは言え、燃費性能はWLTCモードで35.4km/Lを実現しているハイブリッドZ。装備の充実した最上級グレードが100万円台で手に入ると考えれば、割安感は高まるのではないでしょうか。
KSP210/MXPA1♯/MXPH1♯型トヨタ ヤリスの年式とグレードと中古車相場
※中古車相場は2024年3月調べ
燃費を重視すると、ハイブリッド車は魅力的です。しかしコンパクトカーらしい軽快な走りをもとめるのであれば、車両重量の軽い1.5 Lエンジン搭載車をおすすめします。
KSP210/MXPA1♯/MXPH1♯型ヤリスが搭載している1.5Lエンジンは、WLTCモード燃費で最上級のZ 2WD車で21.3km/Lという優れた燃費性能を発揮します。車両重量も2WD車どうしで比較すると70kgも軽くなっています。
2020年式の1.5Z 2WD車の中古車の中古車価格のボリュームゾーンは、約130万〜160万円。最大で新車価格の大体40%ダウンとなっています。
国産コンパクトカーの中でも、抜群の人気を誇る実力派モデルで、かつ装備が充実したグレードが、この値落ち幅を記録するのは見逃せません。ハイブリッド車に人気が集まっているようであれば、あえて外して割安感の高いグレードを狙うののがオススメです。
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