中古車の購入前に知っておくべき5代目・6代目スズキワゴンR中古車購入ガイド!魅力とおすすめグレード
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(株)コリズム CORISM代表取締役/編集長
「日本カー・オブ・ザ・イヤー」実行委員
- 略歴
一般社団法人 日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。
自動車専門誌編集長を経て、2011年に自動車情報専門サイト「CORISM」を立ち上げ。自動車メディア経験は30年以上。年間約50台のクルマに試乗し、評価している。
MH34S/44S型・MH35S/55S/85S/95S型スズキワゴンR中古車
スズキワゴンRは、軽自動車の中でも人気の高い車種です。
軽自動車ですが、広めの車内空間と燃費性能が高く、経済的で維持費の安さから、初めての車やセカンドカーとしてなど、幅広い支持を集めています。
この記事では、5代目(MH34S/44S型)と6代目(MH35S/55S/85S/95S型)に絞って紹介していきます。
MH34S/44S型スズキ ワゴンRの特徴

5代目にあたるMH34S/44S型ワゴンRは、2012~2017年にかけて販売されたモデルです。
体系は、標準車のワゴンRとスポーティなワゴンRスティングレーの2種類が用意されています。
2,425mmというロングホイールベースの新開発したプラットフォームを採用し、室内長、前後乗員間距離を拡大して、広々とした室内空間が特徴です。
また新開発のプラットフォームの採用により、当時軽ハイトワゴンで最軽量の780kg(FX 2WD車)を実現。さらに、パワートレインの高効率化、各部の摩擦抵抗低減など基礎技術に磨きが掛かっています。
外観は、ワゴンRは伝統の縦型ヘッドランプや質感の高いフロントメッキグリルを採用し、上質感を演出。一方ワゴンRスティングレーは、スケルトングリルと丸目4灯イメージのヘッドランプを横一文字に配置することで、迫力あるフロントマスクと差別化されています。
インテリアは上面や前面のボリュームを抑えて、乗員に圧迫感のない開放感のあるインストルメントパネルを採用しています。加えてワゴンRスティングレーは、精悍でスポーティなブラック内装を採用し、シルバー加飾をあしらうことで質感の高さを表現しています。
搭載しているエンジンは、R06A型0.66L直3DOHCガソリンエンジンに加えて、ワゴンRスティングレーにはR06A型0.66L直3DOHCガソリンターボエンジンも設定されています。
さらに、当時軽自動車初となる低燃費技術の「エネチャージ」、「新アイドリングシステム」、「エコクール」が全車に標準装備されました。
新車の販売が終了する2017年まで、一部改良やマイナーチェンジを経て、エンジンの最適化や改良を行うことで燃費性能を上げたほか、内外装の変更や安全装備や機能の追加など、乗る人がより安全で快適なカーライフを送れるよう考えられてきました。
一部改良・マイナーチェンジの歴史
※1 レーダーブレーキサポート:衝突時の被害軽減を図る
※2 ESP:車両走行安定補助システム(スリップや横滑り、タイヤロックなどを抑制)
※3 S-エネチャージ:ISG(モーター機能付発電機)と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせた発電のためのムダな燃料消費を抑えるシステム
※4 バックアイカメラ:「後退時左右確認サポート機能」と「自動俯瞰機能」を採用
MH34S/44S型ワゴンRのグレード解説
標準車のワゴンRはデビュー時から2014年のマイナーチェンジ前までは、FXとFXリミテッドの2グレードでした。FXではCVTに加えて5速MTも選べます。
2014年のマイナーチェンジ時には、FA、FX、FZの3グレードが設定され、装備に加えて外観デザインも差別化が図されました。
FX系やFA系グレードは、装備がかなり簡素となっているので、購入の選択肢からは外しても良いかもしれません。
前期型では2013年にFXリミテッドをベースとした20周年記念車、後期型では2015年にFXをベースとしたFXリミテッドといった装備の充実した特別仕様車が設定されています。
ワゴンRスティングレーは、自然吸気エンジンを搭載したXとターボエンジンを搭載するTの2グレード構成です。こちらの特別仕様車は、2014年に設定されたJスタイルのみとなっています。
MH34S/44S型スズキ ワゴンR中古車の注意ポイント
中古車を購入するのに注目しておきたい点に、リコール情報や、改良やグレードごとの安全装備の違いなどがあります。
MH34S/44S型ワゴンRにもリコール情報があります。
エネチャージ搭載車の部品の形状が不適切で、耐久性が不足している場合があり、適切なエンジン制御ができなくなり、エンストに至ることがあるようなので、修理済みの車かどうか確認したいところです。
2014年のマイナーチェンジに加えて、2015年に燃費&走行性能を向上させた一部改良を行っているので、中古車を狙う場合は改良後の年式を検討するのがおすすめです。
MH34S/44S型ワゴンRは、標準車のワゴンRとワゴンRスティングレーの2モデルがありますが、装備面が充実しているのは圧倒的にワゴンRスティングレーになります。こちらを選ぶ方がいいでしょう。
特別仕様車の20周年記念車は、専用の内外装に加えて、運転支援システムのレーダーブレーキサポート(衝突被害軽減ブレーキ)や誤発進抑制機能、エマージェンシーストップシグナル、横滑り防止装置のESPが標準装備されています。
また、モデル末期に設定された特別仕様車のFXリミテッドは、ルーフエンドスポイラーや14インチアルミホイールといった専用の内外装を採用しています。
一方、2014年にワゴンRスティングレーに設定されたJスタイルはその名のとおり、日本をテーマに和のテイストを強めた内外装が特徴です。
MH34S/44S型スズキ ワゴンRの年式とグレードと中古車相場
中古車のMH34S/44S型ワゴンRでは、Sエネチャージの採用によって燃費性能が向上したワゴンRスティングレーXがおすすめです。
JC08モードで32.4km/Lという優れた燃費性能に加えて、オプション装備ながら、当時の自動車初となる「後退時左右確認サポート機能」と「自動俯瞰機能」を採用したバックアイカメラを、スマートフォン連携ナビゲーションとセットで設定。
さらに、後退時にバックアイカメラを使用し、移動物を検知。左右から車両後方に車や歩行者などの移動物が近づいてくると、モニター内の左右確認サポート表示の点滅とブザーでドライバーに知らせる後退時左右確認サポート機能など運転支援機能が装備されています。
快適装備もフルオートエアコンをはじめ、日焼けを抑えるUVカットガラス。横滑り防止装置のESPといった走行安定性を高めるデバイスを採用していることも理由として挙げられます。
年式が進んでいますが、新車時価格の3分の1でほどで手に入れられるのは魅力です。
MH34S/44S型ワゴンRの安さ重視のお勧め年式とグレードと中古車相場
MH34S/44S型ワゴンRの中古車のオススメモデルは、予算50万円でも手に入ります。ここでは予算50万円以下、100万円以下の場合のおすすめモデルについて紹介します。
予算50万円以下のおすすめモデル
※中古車相場は2024年3月調べ
MH34S/44S型ワゴンRは生産終了してからすでに約7年が経過しており、流通している中古車の平均価格が50万円以下となっている。そのため、燃費性能の向上した2014年のマイナーチェンジ以降の車でも50万円以下で手が届くようになっています。
予算50万円以下でおすすめのMH34S/44S型ワゴンRの中古車は、2014年のマイナーチェンジ後のFZです。
中古車相場のボリュームゾーンは約30~50万円で、新車時価格の3分の1程度となっています。FZはマイナーチェンジ時に設定されたワゴンRの最上級モデルです。2WD車は32.4km/Lという優れた燃費性能を実現しているだけでなく、ブルーのヘッドランプカバーなど専用の外観パーツを採用。
快適装備もフルオートエアコンやUVカットガラスを、走行安定性を高めるESPも標準装備しており、購入後の満足感は高くなります。
予算100万円以下のおすすめモデル
※中古車相場は2024年3月調べ
予算100万円でMH34S/44S型ワゴンRの中古車を購入するとしたら、ほぼ全モデルが対象となります。
そんな中でオススメしたいグレードは、MH34S/44S型ワゴンRで唯一ターボエンジンを搭載した『スティングレーT』です。
パワフルな走りと28.0km/Lという優れた燃費性能を両立するSエネチャージを採用したターボエンジンを搭載。
200万円近い新車時価格だったスティングレーTも40%程度で手に入れられるようになっています。
快適装備はフルオートエアコンやUVカットガラスに加えて、クルーズコントロールも標準装備。走行性能も15インチアルミホイールを装着するなどパワフルなターボエンジンに対応しています。
流通台数が少ないのがネックなのですが、年式の割には走行距離が少ない車が多いのも魅力と言えます。
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MH35S/55S/85S/95S型スズキ ワゴンRの特徴

6代目にあたるMH35S/55S/85S/95S型ワゴンRは、2017年から2024年5月現在まで販売されているモデルです。
軽量化と高剛性を両立させた新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」の採用に加えて、発進時にモーターのみで走行可能なマイルドハイブリッドシステムを採用し、当時の軽ハイトワゴンNo.1の燃費性能を実現していました。
MH34S/44S型ワゴンRは、標準車とスティングレーの2種類の外観デザインを採用していましたが、MH35S/55S/85S/95S型ワゴンRは、デビュー当初標準車がFX、FZで異なる外観デザインを採用し、スティングレーを含んだ3モデルが用意されています。
インテリアは、センターメーターや左右に通った横長のインパネカラーパネルにより、運転席前の開放的な視界を確保し、広々とした室内空間を演出しています。
搭載しているR06A型エンジンは、MH34S/44S型ワゴンR同様自然吸気とターボエンジンの2種類だが、エンジンの冷却性能の強化、補機ベルトの張力を低減して高出力化に対応させています。
組み合わされるトランスミッションの副変速機付CVTはギヤ比を最適化し、加速&燃費性能を両立しました。
標準車のワゴンR FXとワゴンRスティングレー Lを除く全グレードには、Sエネチャージから高出力化したISG(モーター機能付発電機)と大容量化したリチウムイオンバッテリーを採用したマイルドハイブイリッドシステムが搭載されています。幅広い速度域でエンジンをモーターがアシストすることで燃料消費を抑制可能で、優れた燃費性能を発揮します。
運転支援システムでは、単眼カメラと赤外線レーザーレーダーで前方の歩行者や車を検知して衝突の被害を軽減するシステム「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」を搭載。さらに周囲の状況に合わせて自動でハイビームとロービームを切り替えるハイビームアシスト機能を搭載するなど最新鋭の支援システムを採用しています。
またオプション設定ながら、運転席前方のダッシュボードにヘッドアップディスプレイが採用されました。走行中の視線移動が少なく、安全運転に大きく貢献していると言えると思います。
一部改良・マイナーチェンジの歴史
MH35S/55S/85S/95S型スズキ ワゴンRのグレード解説
標準車のワゴンRのデビュー当初のグレード構成は、FAとハイブリッドFX、ハイブリッドFZの3タイプです。
「ハイブリッド」という車名が示すとおり、FXとFZにはマイルドハイブリッドが搭載されています。
エントリーグレードのFAは、マイルドハイブリッドが搭載されていないだけでなく、メーカーオプションの設定もほとんどありません。
2022年の一部改良でグレードが整理され、FXとハイブリッドFX-Sに変更された。エントリーグレードとなったFXはFAを継承したグレードでメーカーオプションの設定が少なくなっています。
ワゴンRスティングレーのグレード構成はデビュー当初、L、ハイブリッドX、そしてターボエンジンを搭載したハイブリッドTの3種類でした。
しかし2019年の一部改良でマイルドハイブリッドレスのLが廃止され、ハイブリッドXとハイブリッドTの2グレードとなりました。
2022年に追加されたワゴンRカスタムZは、自然吸気エンジンを搭載したハイブリッドZXとターボエンジンを搭載するハイブリッドZTの2グレードが用意されました。
特別仕様車は、2018年9月にワゴンR25周年を記念して、ワゴンRにはハイブリッドFXセーフティパッケージをベースとしたハイブリッドFXリミテッド。
そしてハイブリッドFZセーフティパッケージをベースとしたハイブリッドRZを設定。専用の内外装に加えて、運転席シートヒーターが追加されています。
ワゴンRスティングレーはハイブリッドXがベースにハイブリッドXリミテッドが設定。専用のファブリックシートやアルミホイールなども装着しています。
MH35S/55S/85S/95S型スズキ ワゴンRの注意ポイント
中古車の購入を選択肢に入れる場合に注意したいのが、リコール情報やモデルごとの装備や性能の差です。
MH35S/55S/85S/95S型ワゴンRにもリコール情報はあります。補助電源モジュールの制御プログラムが不適切なため、最悪の場合、エンジン始動不能に至ることがあるとのこと。
また、フロントドアのドアラッチ及びストライカの設定が不適切で、側面衝突時に再度エアバック展開時に最悪の場合フロントドアが開いてしまう恐れがあります。購入したい車両が対象車の場合は、修理済みかどうか確認するのが良いでしょう。
MH35S/55S/85S/95S型ワゴンRは、外観デザインの変更とモデルラインアップを変更した2022年の一部改良。そして自然吸気エンジンの変更と運転支援システムを充実させた2019年の一部改良がポイントと言えます。
なかでも2022年の一部改良は、夜間の歩行者も検知するデュアルカメラブレーキサポートが全車に標準装備されました。
さらに全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)、及び車線逸脱抑制機能を一部のグレードを除いて標準装備されています。さらに、コネクテッドサービス「スズキコネクト」に対応するなど商品性が大幅に向上しました。
予算が合うのであれば、2022年の一部改良以降の車が、長く乗るにはおすすめできます。
MH35S/55S/85S/95S型スズキ ワゴンRの年式とグレードと中古車相場
MH35S/55S/85S/95S型ワゴンRの中古車おすすめは、2022年の一部改良で追加されたワゴンRカスタムZ のターボエンジンを搭載した『ハイブリッドZT』です。
中古車の流通台数は自然吸気エンジンを搭載したハイブリッドZXのほうが圧倒的に多いですが、中古車相場はクロスオーバーしています。新車時価格の高いハイブリッドZTのほうがバリュー感は高くなっています。
ワゴンRカスタムZ ハイブリッドZT 2WD車の新車価格は171万500円。2022年式の中古車のボリュームゾーンは、約130~150万円とハイブリッドZXとほとんど変わりません。したがって、お買い得感が圧倒的に高いのです。
運転支援機能はアダプティブクルーズコントロールを標準装備し、走行性能面では15インチアルミホイールを標準装備されるなど文句なしです。
オプションのナビゲーションも装備しているうえ、走行距離は1,000km以下という高コンディションの中古車が多くなっています。
MH35S/55S/85S/95S型スズキ ワゴンRの安さ重視のお勧め年式とグレードと中古車相場
MH35S/55S/85S/95S型ワゴンRの中古車のオススメモデルは、大体予算150万円ほどになります。
ですが、ここでは安めの予算で60万円以下と100万円以下の場合のおすすめモデルについて紹介します。
予算60万円以下のおすすめモデル
※中古車相場は2024年3月調べ
MH35S/55S/85S/95S型ワゴンRの中古車で最も流通台数が多い年式が、デビューした2017年式です。初期モデルであれば、予算50万円でも手が届く車が流通しています。
予算50万円でのおすすめグレードは、ハイブリッドFXセーフティパッケージです。中古車価格のボリュームゾーンは、約40万~70万円と幅広いですが、2017年式・2018年式どちらも狙えます。
ハイブリッドFXの新車時価格は約120万円でしたが、すでに50%以下で手に入るような科価格帯になっています。しかもおすすめするのは、ハイブリッドFXに約10万円のオプション装備であるセーフティパッケージ装着車です。
セーフティパッケージは、デュアルセンサーブレーキサポート、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車お知らせ機能、ハイビームアシスト機能、ヘッドアップディスプレイ、キーレスプッシュスタートシステムといった運転支援機能や快適装備が充実しています。
こういった運転支援機能は後付けできないので、中古車の購入では装着車を探したいところです。
予算100万円以下のおすすめモデル
※中古車相場は2024年3月調べ
MH35S/55S/85S/95S型ワゴンRの中古車で予算100万円のおすすめモデルは、2019年の一部改良で新開発のR06D型エンジンを搭載した2020年式の『ハイブリッドFX』です。
R06D型0.66Lガソリンエンジンは、デュアルインジェクションシステムやクールドEGRなどの新技術を搭載し、熱効率を向上させています。さらに、軽量化と高効率化により、優れた燃費性能と軽快な走りを両立させた新開発CVTを組み合わすことで、燃費性能はWLTCモードで25.2km/Lが実現されています。
さらに、安全装備では後退時の衝突被害軽減ブレーキ「後退時ブレーキサポート」をはじめ、後方誤発進抑制機能、リアパーキングセンサーを搭載し安全性を向上させています。
MH35S/55S/85S/95S型ワゴンR FXの2020年式の中古車価格のボリュームゾーンは、約80~100万円です。新車時価格が約130万円なので、それほど下がっていないように見えるのですが、中古車でも全方位モニター用カメラパッケージとナビゲーションを装備している車が多いので、お得感は高いと言えます。
逆に、ハイブリッドFXの中古車の中には、運転支援機能のスズキセーフティサポートが非装着の車もあるのでよく確認して選択したいところです。
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