Mercedes-Benz 500E

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    Impression

    ポルシェミュージアムは、
    一台のメルセデスベンツを所有している。
    これまで一度だけ
    ポルシェが手がけた
    スリーポインテッド・スター 500Eが完成した。

    このマシンは歴史が生んだ奇跡の一台かもしれない
    1980年代後半、ダイムラーベンツは
    現在のEクラスの原点となるスポーツセダンW124の大ヒットにより
    ドイツ・ジンデルフィンゲン工場の生産が間に合わず
    苦慮していた。

    そこでベンツは経営危機に瀕していたポルシェに
    500Eの開発と生産を打診した。
    このプロジェクトは
    シュトゥットガルトを拠点とする同郷の二社にとって
    これ以上無いほど良いタイミングだった。
    当時のポルシェは輸出の減少から生産量が落ち込み
    経営の危機に瀕していたから
    この500Eの開発と生産委託は、ポルシェの経営危機を救う
    プロジェクトのひとつとなった。

    ポルシェは、このマシンの開発をスポーツカーメーカーの威信をかけて
    全力で取り組んだのだろう
    500Eは、前後重量配分を改善するために
    重量のあるバッテリーをトランクルームに移し
    さらにブレーキも当時のSLと共通、
    直径300mmのベンチレーテッドディスクにし
    前輪にはブレンボ4ポッドアルミキャリパーを装着
    またハンドリングの煮詰めには当時ザウバーに在籍していたF1ドライバー
    ジャン=ルイ・シュレッサーが参加していたと言われている
    そのため通常のスリーポインテッド・スターとは
    全く別物のマシンなのだ。

    数々のポルシェのこだわりが込められた500E
    市場からは絶大な評価を得たが
    販売的には成功したとは言えなかった
    それはポルシェのこだわりが高コストとなってしまったからだ
    そのため生産台数は少なく
    日本に正規輸入された台数は 1,184台と記録。

    果たして 今の日本に
    何台の500Eが存在するのだろう。
    ストックヤードのマシンを眺めながら
    伝説のスリーポインテッド・スターを取り扱えるチャンスは
    少ないのかも知れないとリベラーラは思っている。