Ferrari 458 Spider

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    Impression

    走るためのフェラーリなら、
    日常的にメンテナンスを行い、
    コンディションの管理に気遣えばいいだろう。
    だが、フェラーリをコレクションモデルとして仕立て上げるためには、
    さらにいくつかの鉄則がある。
    ひとつは走行距離。低走行であること。
    そして装備。オプションはフェラーリ純正を選ぶこと。
    そのうえで、日々のメンテナンスを続けること。

    そんな選ばれたフェラーリとして生まれた、
    458スパイダーが現れた。
    走行距離1,400km。ブラックのフルカーボンで身を包んだ、
    2011年モデルのマシンである。 フロントマスクには、
    精悍なカーボンファイバー製フロントウイングが
    備えられている。

    このマシンのスパルタンさは、リアビューが明確だ。
    カーボンファイバー製のリアデュフューザー、
    そしてリアバンパー・モールディングで装われ、
    ダイヤモンドポリッシュの
    純正20インチ5本スポーク鍛造ホイールを履き、
    グレーシルバーストンのブレーキキャリパーを
    セレクトしている。
    そのセンターに、ブラッククロームテールパイプが鎮座している。

    シートはカーボンファイバーレーシングシートで、
    シート・ヘッドレストには白い跳馬刺繍が施され、
    座面は本革とアルカンターラを組み合わせ、
    センターにボディカラーとコーディネイトした
    一本のビアンコのストライプを入れている。
    このセンスには恐れいる。

    ドア内装はカーボンファイバー製で、
    アルカンターラ仕上げのアームレストを備えている。
    本来本革張りとなるところをあえて、
    カーボンとアルカンターラでアレンジする。
    ここまでこだわった458スパイダーは、
    あまりお目にかかれない。

    たとえばレブカウンターのまわりなど、
    ステアリング、メーターパネル、そしてセンターコンソールと、
    カーボンファイバー製のパーツを満載したコックピット。
    ブラック内装にカーボンという組み合わせは、
    スポーツカーの黄金比かも知れない。
    いまにもエンジンをスタートさせてしまいそうな誘惑が、
    押し寄せる。

    きっと、このマシンのオーナーとなる人は悩むことだろう。
    誘惑に負け、エンジンに火を入れるのか、
    それともこだわりある作品として、
    クラシケを取得するまで、
    コレクションマシンとして保管するのか。
    フェラーリスタとしてのポリシーが問われるマシンに違いない。
    そんな458スパイダーは、
    少ない。