Aston Martin DB9 Touchtronic2

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    Impression

    グランド・ツアー。
    それは19世紀のイギリスで、貴族階級の子女が始めたと言われている。
    彼らは自宅に家庭教師を呼び、教養や知識を学んだが、
    こうした教育の最終課程で、
    2〜3年に及ぶ長期の旅を行いヨーロッパの各地を旅した。
    この長期の海外修学旅行に使った、馬車やクルマを
    グランド・ツアーと呼んだ。
    その仕様は、つねに長距離の旅に適うハイパフォーマンスと快適さ、
    そしてラグジュアリーさが求められ続けた。
    この歴史を受け継ぐ正統派に、DBシリーズがいる。

    アストンマーティンDB9は、
    新拠点となった英国ゲイドンで生産されたはじめてのマシン。
    独自のボンド接着アルミスペースフレームである
    VHプラットフォームを初めて採用したモデルで、
    車体の軽量化と高剛性を追求している。
    その「軽い」ボディに、強力なV12気筒エンジンを搭載している。

    12気筒搭載車としては、ライトウエイトなボディのためか、
    あるいはデザインのなせる技か、
    サイドシルエットにはシリーズの伝統という気品が漂う。
    フロントからリアへ流れるようなラインの躍動感、
    そして前からの風の力を受け止めるようなリアのボリュームによって、
    時代を超越したタイムレスな美しさと風格を醸し出している。

    大きなラウンドデザインで仕上げたテールランプと、
    2本出しのサイレンサー。そのエレガントな迫力と共に、
    パーキング時にうれしい、
    バックカメラ、コーナーセンサーが装備されている。
    この一台は、正規ディーラーで供給され、
    この国でオーラを放ち続けてきたことで、
    日本における実用性も身につけた生粋の英国GTである。

    5.9リッター自然吸気V12気筒DOHCエンジン。
    最高出力450ps(336kw)/6,000rpm、
    最大トルク58.1kg・m(570N・m)/5,000rpmというハイパワーを、
    「タッチトロニック2」と名付けた6段オートマチックで操り、
    市街地からハイウェイを思いのままに走る。

    朱色は鉄鉱石を、
    ホワイトベージュは砂岩をモチーフにした、
    上質なナチュラルカラーのインテリア。
    また、ドライブ、パーキング、ニュートラルなど、
    「タッチトロニック2」のセレクトスイッチとナビゲーション廻りには、
    マホガニー仕様でアクセントを付けている。
    アストンマーティンの標準仕様のナビ画面は、小振りで控えめだが、
    前オーナーは、ナビ画面を大型化する際に、
    宝石箱のようなマホガニー意匠をオーダーメイドしたのだろう。

    長い時間を疲れさせず、遠くへと旅する。
    時間の豊かさとゆとりを楽しむために、ステアリングを握る。
    幾台ものマシンを乗り継いできた人だからこそ判る、違い。
    この一台は、そんなオーナーが現れることを、待っている。 人生に、卒業旅行はあるのだろうか。
    DB9は、愉しい時間はいつまでも続く、と語っているようだ。