
タイヤのバーストとは単なるパンクとは原因も状況も大きく異なります。最悪の場合、重大な事故につながる恐れもあることから、わたしたち整備士もお客さまには常にそのリスクについて理解してもらおうと奮闘しています。
この記事では現役整備士がバーストの原因や前兆、バーストしないためにできる予防法について解説します。
- タイヤバーストとは?パンクとの違い
- バーストしたタイヤの応急処置は不可
- タイヤバーストの前兆
- タイヤバーストの原因
- 特に注意!夏のタイヤバーストについて
- タイヤがバーストしないための予防法
- 整備士のまとめ
タイヤバーストとは?パンクとの違い
タイヤのバーストとパンクはまったく別ものです。バーストは走行中のタイヤが破裂することを指します。バーストは大きな破裂音を伴います。
パンクはタイヤに釘などの異物が刺さったり、エアバルブの劣化によって空気が徐々に抜けていくことを指します。
バーストは走行中に急激に空気が抜けるのに対し、パンクは徐々に空気が抜けるので状態に気付くことは困難なことが多いです。
バーストは特に高速走行中だとハンドルを取られてコントロールを失うこともあり、重大な事故につながるリスクが大きいです。
バーストしたタイヤの応急処置は不可
バーストしたタイヤは破裂したことで、明らかに空気が入るような状態ではないので、パンク修理や応急処置ができないことは見た目から明らかです。
車にスペアタイヤを搭載している場合は、スペアタイヤに付け替えすれば自走が可能ですが、そうでない場合には走行には危険を伴うことから、JAFや保険のレッカーサービスを利用して整備工場に搬送してもらうことをおすすめします。
タイヤバーストの前兆
タイヤのバースト発生の前兆として「スタンディングウェーブ現象」が挙げられます。これは、空気圧が低下したまま高速走行をしたときに、タイヤの側面が波状に変形する現象です。
車体に振動が伝わり、走行中の違和感に気付くこともありますが、前兆なく(気付くことができず)バーストすることも少なくありません。
タイヤバーストの原因
タイヤバーストの原因となるものを5つご紹介します。心当たりのある場合は、早急にタイヤの点検をしましょう。
空気圧不足のまま走行する
適正値に対して空気圧が不足したまま走行を続けることで、タイヤのたわみ量が増えて内圧が上昇、過熱します。(スタンディングウェーブ現象が起こりやすくなる)
そのような異常な状態となったタイヤは衝撃や荷重に耐えられなくなり、最終的にバーストしてしまいます。
定期的な空気圧のチェックを怠ることは、このような非常に危険なリスクを伴います。
タイヤのワイヤー・コードが出ている
残り溝の少なくなったタイヤをそのまま使い続けていると、タイヤの骨格を形成するコード・ワイヤーと呼ばれるものが突出してしまいます。
タイヤの骨格となる重要な部位が直接路面と接触し続けることで急速に損傷が進み、耐久性の落ちたタイヤは最終的にバーストしてしまいます。
タイヤの劣化・ヒビ割れ
タイヤは経年劣化によって、溝が十分に残っていてもヒビ割れが発生します。ヒビ割れは酷くなると、裂け目のようになってしまいます。
劣化とヒビ割れで耐久性の落ちたタイヤはバーストのリスクが高くなります。
タイヤの損傷(コブの発生)
タイヤを縁石にぶつけたときなどに、タイヤのサイドウォールにコブのような膨らみができることがあります。これを「ピンチカット」といいます。
この膨らみは、タイヤの内側にあるコード(タイヤの骨格を形成するもの)が衝撃によって損傷してしまったときにできるものです。
非常に重要な部分がダメージを受けており、部分的に著しく剛性や耐久性が落ちているので、そのままの状態で使用を続けるとバーストしてしまう可能性があります。
パンクを放置したまま走行を続ける
パンクを放置して走行を続けると、徐々に空気が抜けていくのでいずれ空気圧不足の状態となります。
すでに解説したように、空気圧が不足した状態での高速走行はバーストのリスクが高まります。
特に注意!夏のタイヤバーストについて
タイヤバーストのトラブルは特に夏に増加します。夏は気温、路面温度共に高いので、空気圧不足での高速走行時にタイヤがより熱を持ちやすくなるためです。
暑くなる夏前にはタイヤの状態をしっかり確認して、必要に応じてバーストしないための予防法を実践しておく必要があります。
タイヤがバーストしないための予防法
タイヤがバーストしないための予防法は以下のとおりです。
- 定期的に空気圧の点検をする
- 定期的にタイヤの残り溝を点検する
- ヒビ割れの発生など経年劣化したタイヤやピンチカットの発生したタイヤは、残り溝が十分にあっても交換を検討する
定期的に空気圧の点検をする
バーストの主原因は空気圧が低下していることに起因するので、定期的に空気圧を点検することがとても大切です。タイヤの空気は時間の経過と共に自然と抜けますし、寒暖差によっても大きく変化します。
可能であれば1ヶ月に一度は見るようにして、基本的にタイヤが冷えている状態で規定値となるように調整しましょう。これは窒素を充填している場合でも同様です。
定期的にタイヤの残り溝を点検する
意外と見逃しがちなのがタイヤの残り溝の状態です。
タイヤの外側は溝が残っていても、内側はツルツルになっていることも珍しくありません。
タイヤの残り溝を点検するときは、ハンドルを左右に据え切って内側の状態も見えるようにしたうえでおこなうことが重要です。
タイヤの骨格となるワイヤー、コードが剥き出しになってしまっている場合は、早急にタイヤ交換をしてください。
残り溝が十分にあってもタイヤ交換を検討するべきケースがある
タイヤの交換を検討するタイミングは残り溝が少なくなったときだけではありません。
ゴム製品であるタイヤは経年劣化によってヒビ割れが発生して耐久性が低下します。
タイヤメーカーは製造から10年経過したタイヤは交換を推奨しています。
しかし、車の使用環境によって劣化具合は大きく異なることから、5年を過ぎたタイヤは点検したうえで必要に応じて交換を検討するのが良いでしょう。
また、コブ(ピンチカット)のできたタイヤをそのまま使い続けることはバーストのリスクが高まるので、残り溝が十分にあったとしても早急な交換を検討してください。
整備士のまとめ
タイヤのバーストは車両事故につながる危険を伴います。
そればかりではなく、破裂したときに発生する空気の力は非常に大きいので、バーストしたときにすぐ横に歩行者がいたりすれば、他人に怪我を負わせるリスクもあります。
暑くなる夏は特にバーストが増える傾向にありますが、季節を問わずバースト発生の可能性はあります。
安心安全のためにもタイヤの空気圧を定期的に点検することは必須と考え、タイヤの状態によっては残り溝が十分にあっても交換を検討するべきことがあると理解しておきましょう。
- Supervised by 整備士 ヒロ
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保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。