この記事の目次 CONTENTS
トヨタ ライズとの姉妹車関係
日本マーケットのニーズど真ん中を狙ったコンパクトSUV
手堅いデザイン
随所に光る使い勝手の良さ
プラットフォーム&足回り、全てを刷新
1.0Lターボ+新開発CVTで、クラストップレベルの低燃費を実現
全グレードに予防安全装備「スマートアシスト」を標準装備化
新型ダイハツ ロッキーの選び方
ダイハツ ロッキー価格、スペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

トヨタ ライズとの姉妹車関係

ダイハツは、新型コンパクトSUVであるロッキーの発売を開始した。
トヨタ ライズと姉妹車関係にあるモデルで、開発・生産はダイハツ主導で行われた。

ロッキーには、ダイハツのDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と呼ばれれる新世代の基本プラットホームを採用。軽自動車のタントに続き2車種目のモデルだ。

日本マーケットのニーズど真ん中を狙ったコンパクトSUV

ロッキーのボディサイズは、全長3,995mmと4mを切る長さで、全幅は5ナンバー車の枠内にとどまる1,695mmとなった。

全高は1,620mmとやや高め。
これは、最低地上高や大径タイヤの採用が影響している。
都市部に多い立体駐車場の全高制限1,550mmは超えているものの、5ナンバーサイズにしたことで、狭い道での使い勝手はよい。

一方で日本車のコンパクトSUVで人気が高いホンダ ヴェゼルは、BセグメントのコンパクトカーであるフィットをベースとしたBセグメントのコンパクトSUVだ。
ただ、フィットのボディサイズは全長約4m、全幅1,695mmのところ、ヴェゼルの全長は4,330mm、全幅1,770mmにまで拡大されている。

そうすると、フィットなどのBセグメントコンパクトカーに乗るユーザーには、フィットより1クラス上のクルマという印象になる。
こうしたユーザーにとっては、やはり全長4m&全幅1,695mmといったボディサイズが乗りやすいのだ。

しかし、今までこうしたボディサイズをもつコンパクトSUVが無かった。
スズキ クロスビーがヴェゼルより下のAセグメントのコンパクトSUVとして存在していたが、ボディサイズはやや小さく全長3,760mmだった。

新型ロッキーは、こうした隙間を埋める国内ニーズのど真ん中といえるモデルと言える。

手堅いデザイン

ロッキーのデザインは、外しのないスポーティなデザインでまとめられている。

SUVらしく、全高を高めにしてボリューム感のあるボディとすることで、クルマをより大きく見せている。
パッと見た目では、全長4m、全幅1,695mmというコンパクトなボディには見えない迫力だ。
そこに、エッジの効いたキャラクターラインが加えられ、スポーティな印象もアピールしている。

外観デザインは、斬新なデザイン手法などは感じさせないものの、多くの人に好感を与える。
このクラスのクルマは、好き嫌いが明確になるようなデザインは敬遠されるので、このデザインが正解だろう。

インテリは、SUVらしい雰囲気が演出された。
シルバーの加飾を施しハイコントラストで見せるスポーティな色使いが採用されている。

インパネデザインは、カッチリとした水平基調で広々とした空間を演出。太く力強いセンターコンソールでSUVらしさをアピールする。

また、センターコンソール上部には、9インチスマホ連携ディスプレイオーディオを設置。
高い位置に設置されているため、視線移動も少なく安全運転にも貢献する。

随所に光る使い勝手の良さ

ロッキーは、コンパクトSUVらしさを生かした使い勝手の良さも魅力だ。

タイヤサイズはグレードによって、16インチまたは17インチの設定。
狭い駐車場やUターン時の使い勝手指標になる最小回転半径は、16インチタイヤで4.9m、17インチタイヤでも5.0mという最少回転半径となった。コンパクトなボディサイズを生かした取り回しの良さだ。

また、室内には豊富な収納スペースを確保。
さらに、小さなボディサイズながらさまざまな工夫により、ラゲッジスペース容量は369Lと広大。
クラストップレベルの荷室スペースを誇る。

最大荷室長は755mmとなった。
リヤシートは6:4の分割可倒式で、長尺物も楽々と積むことができる。

荷室は、2段可変式デッキボードもち、80Lのアンダーボックスなども備える。

プラットフォーム&足回り、全てを刷新

ロッキーには、DNGAの第2弾となる新プラットホームが採用された。

新プラットフォームは、骨格構造のスムーズ化や合理化を徹底。部材の構造断点をなくしたほか、高張力鋼板を採用することで軽量・高剛性化を図った。

サスペンションは、ジオメトリーをゼロから開発。
サスペンションの取り付け位置やブッシュ特性、バネ定数、ショックアブソーパー特性などを最適化した。

DNGAにより、高剛性ボディを手に入れたことで、サスペンションもより最適に動くようになり、高い操縦安定性と優れた乗り心地を両立した。

1.0Lターボ+新開発CVTで、クラストップレベルの低燃費を実現

ロッキーは、割り切って1.0Lターボのみの設定となった。
1.0Lなので、自動車税も25,000円と安価なのも魅力だ。

新型ロッキーに搭載された直3 1.0Lターボエンジン(1KR-VET型)は、72kW(98ps)/6000rpm、140N・m(14.3kg-m)/2400~4000rpmのパワー&トルクを発生。1.5Lの自然吸気エンジン相当の最大トルクを誇る。

組み合わされるトランスミッションは、新開発のD-CVT。
スプリットギヤを用いた技術を採用し、ワイドレシオの変速比を実現した。

変速比幅が広いので、エンジンの効率がよい部分を積極的に使えるようになったことで、優れた燃費値を実現している。
同じ1.0Lターボで、マイルドハイブリッドを採用したクロスビーより燃費がよい。
これは、クロスビーが6速ATであるのに対して、ロッキーは変速比幅のワイドな新D-CVTを使っていることが大きな要因のひとつだ。

ロッキーの燃費は、WLTCモードで18.6km/L、 JC08モードなら23.4km/Lとなっている。
ちなみに、ライバル車のクロスビーは22.0㎞/Lだ。

また、ロッキーの4WDシステムには、新開発のダイナミックトルクコントロール4WDが採用された。
いわゆる電子制御4WDで、通常時はFF(前輪駆動)走行。走行状態や路面状況を検知し、前後輪にきめ細かなトルク配分を行う4WDシステムだ。
走行中の前後トルク配分は、マルチインフォメーションディスプレーの表示される。

全グレードに予防安全装備「スマートアシスト」を標準装備化

ロッキーには、「次世代スマートアシスト」が標準装備された。
このスマートアシストは、10種類の予防安全機能を備え、運転をサポートするスマートアシストプラスとして7種類の機能がある。

機能数は十分なものだが、肝心の歩行者検知式自動ブレーキは、夜間の歩行者には対応しておらず残念な部分。
早急なバージョンアップが必要だ。

おもしろいのは、ダイハツとトヨタの安全への考え方だ。

姉妹車のトヨタ ライズは、スマートアシストが一部グレードに装備されていない。
しかも、オプション設定もできない。

対して、ロッキーには全車標準装備。

ダイハツとトヨタで、安全に対する考え方が明確に差が出た。
自動ブレーキ義務化の流れにある中で、未だトヨタは全車標準装備化しない。
これは、トヨタの安全性軽視ともとれる行動といえる。親会社であるトヨタの考え方に迎合しなかったダイハツは高く評価したい。

そして、何かと流行りのコネクティッドサービスでは、「ダイハツコネクト」として、ダイハツWi-Fi、スマホアプリ連携を実現。9インチのディスプレーオーディオをメーカーオプションとして設定。
これによって、アップルカープレイやスマートデバイスリンクなどに対応できるものとした。

【ダイハツコネクトサービスの主な内容】
・事故や故障時にスムーズな対応を可能とする「つないでサポート」
・ドライバーの状況を家族等の「見守り者」にメール送信する「見えるドライブ」
・駐車位置情報や、ガソリン残量等のクルマの状況を記録し、スマートフォンで確認できる「見えるマイカー」
・車検や点検時期等をディスプレイへの表示とメール送信によりお知らせする「つないでケア」

新型ダイハツ ロッキーの選び方

ロッキーのグレード構成は、プレミアム、G、X、Lの4グレード。各グレードにFF(前輪駆動)と4WDの設定がある。
FFと4WDの価格差はグレードによって若干違いがある。4WDは、おおよそ22万~24万円程度高価になる。

こうしたコンパクトSUVは、従来のハッチバック系のコンパクトカーの代りに乗る顧客も多い。
降雪地域やウインタースポーツをする人以外は、高価な4WDでなくてもいいだろう。

価格はLグレードのFF車で170万5000円の価格が付けられている。これは、価格訴求用のグレードで、内外装の仕様が安っぽいものになる。予算重視というのであれば問題ないが、少々物足りなく感じるだろう。

次にFF車で184万8000円のXと200万2000円のGを比較すると、タイヤサイズが16インチと17インチで異なり、ヘッドライトのオートレベリング機能、LEDのフォグ&リヤフォグランプ、全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール、LKC(レーンキープコントロール)など大きな部分で装備が異なる。

ほかにも細かな違いがあるが、やはりACCが付いたGグレードの満足度は高い。

まずは、Gグレードをベースに検討するといいだろう。
最上級グレードのプレミアムは、220万円という価格が付いている。
装備はよいが、さすがにこのクラスのモデルとなるとやや高価な印象。
ヴェゼルなど、1クラス上のモデルが買える価格になる。

ダイハツ ロッキー価格、スペック

価格や装備・スペックは以下の通りだ。

  • ・L 2WD:1,705,000円/4WD:1,944,800円
  • ・X 2WD:1,848,000円/4WD:2,086,700円
  • ・G 2WD:2,002,000円/4WD:2,224,200円
  • ・Premium 2WD:2,200,000円/4WD:2,422,200円

代表グレード:ダイハツ ロッキーG FFスペック

  • 全長×全幅×全高:3995×1695×1620mm
  • 最低地上高:185mm
  • 車重:980kg
  • 最小回転半径:5.0m
  • エンジン型式:1KR-VET型
  • エンジン:1.0L直3 DOHC 12バルブ ターボ
  • 最高出力:98PS(72kW)/6000rpm
  • 最大トルク:140N・m(14.3kgf・m)/2400-4000rpm
  • 燃費(WLTCモード):18.6㎞/L
  • 燃費(JC08モード):22.8㎞/L
  • トランスミッション:CVT
  • タイヤサイズ:195/60R17