主力ポロがモデル末期。販売面で厳しいフォルクスワーゲンの戦術は、お買い得車の投入


フォルクスワーゲン ポロフォルクスワーゲンは、主力コンパクトカーである「ポロ」に、特別仕様車「Polo Meister(ポロ マイスター)」シリーズ(2グレード)を設定し発売を開始した。

フォルクスワーゲン ポロの歴史

ポロの日本デビューは2009年。全長3,995×全幅1,685×全高1,470mmとコンパクトなボディサイズをもち、最小回転半径は4.9mと小回りも得意。国産車では、トヨタ アクアなどがライバルとなる5ナンバーサイズの輸入車だ。狭い道が多い日本でも使いやすさが際立つモデル。

当然、国内マーケットでも輸入車の中でも高い人気を誇る。フォルクスワーゲンにとって、販売台数面で重要な基幹車種となっている。フォルクスワーゲン内の国内販売台数は、ゴルフに次ぐものとなっていて、2016年度の販売台数は、11,570台を記録。輸入車全体の車種別販売台数でも5位にランクする人気モデル。

現在のフォルクスワーゲンは、北米でのディーゼルエンジン不正問題の影響で販売台数面では苦戦が続いており、メルセデス・ベンツに輸入車販売台数ナンバー1を奪われた後、2016年度はBMWにも抜かれ第3位のメーカーへと転落した。

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特別仕様車投入で販売台数落ち込みを食い止められるか?

厳しい販売状況下に置かれているフォルクスワーゲンの主力車種ポロは、すでにモデル末期を迎えている。欧州では、2017年中に新型ポロが登場するとされているだけに、販売台数面で大きな落ち込みをみせる時期に入っている。こうした厳しい状況であっても、しっかりと販売していかなくてはならない。販売台数の落ち込みを少しでも食い止める必要がある。そこで、フォルクスワーゲンが投入した特別仕様車が、今回登場した「ポロ マイスターシリーズ」ということになる。

価格で勝負!?高価なナビなどを標準装備化しながら、価格アップを抑えたお買い得感をアピールした特別仕様車


フォルクスワーゲン ポロ特別仕様車ポロ マイスターシリーズは、2グレード設定となった。コンフォートラインとハイラインの2グレードに、それぞれ特別仕様車マイスターの設定がある。

両方のグレードに装着された装備は、純正ナビゲーションシステム“716SDCW”、ETC2.0対応車載器、VTRケーブル/iPod/iPhone/USBデバイス接続装置(グローブボックス)。これだけで、ざっと25万円程度にはなる高額装備。

さらに、コンフォートライン マイスターには、LEDヘッドライト(オートハイトコントロール機能、LEDポジションランプ付)がプラスされる。

ハイライン マイスターには、エクステリアカラーに新色のペッパーグレーメタリックが追加された。

この特別仕様車の価格は、「ポロTSIコンフォートライン マイスター」が2,449,000円。「ポロTSIハイライン マイスター」が 2,689,000円。ベース車に対して、コンフォートラインが18万円アップ。ハイラインが、10万円のアップとなった。

プラスされた装備を考えると、モデル末期だけありなかなかお買い得な仕様となっている。

新型を待つか? 完成度の高いお買い得車か?

選択の重要な要素は、マイスターシリーズの値引きにあり!?

フォルクスワーゲン ポロポロ マイスターシリーズを買うか否かという選択は非常に難しい。現行ポロは、非常に完成度の高いモデルで、ハイオク仕様であることを除けば万人におすすめできる。その上、お買い得だ。ただ、1年も経たずに旧型になってしまうのだ。ここが悩みどころ。

予算があるなら新型を待て!安全装備面の改良も期待


新型ポロはというと、当然、旧型を上回るパフォーマンスをもつ。しかし、今までの流れから考えると、価格はアップする。その上、しばらくの間値引きはゼロ。予算は旧型より、多く見積もる必要がある。
現時点では、一長一短といったところかもしれない。ただ、予算はあるというのであれば、新型ポロを待つといい。現行ポロは、歩行者検知式自動ブレーキなどが無いので、予防安全装備面ではやや物足りない。新型はそうしたところも改良されてくるはずだ。

旧型を買うならライバル車としっかり競合させること

こうなると、旧型は価格が重要ということになる。お買い得車とはいえ、さらなる値引きが必要だ。そうしないと、新型が出ればリセールバリューも下がるので、あえて旧型を買うメリットが無くなってしまう。アクアやノートe-POWER、デミオ(クリーンディーゼル車)と競合させてシッカリと更なる値引きを引き出すことが購入の前提となる。

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ポロの中古車在庫をチェックしてみる

まずは、国産車の見積りを取ってからポロの商談に向かいたい。本命はポロ以外という姿勢をみせておきたい。そこで、ポロが安くなるならと・・・という印象を与えるといいだろう。当然、営業マンはお買い得な特別仕様車なので、あまり値引きはできないというセンスのない営業トークをするだろう。そこでひるまず、ポロは歩行者検知式自動ブレーキが付いていない、ハイオク仕様、その上すぐに新型が出てリセールバリューが下がるという話をうまく混ぜながら、上手く駆け引きしたい。また、首都圏のフォルクスワーゲン販売店は、同じような地域で経営母体が異なる店舗がある。こうしたところにも着目して、フォルクスワーゲンの販売店同士で競合させてみるのもいいだろう。

価格


フォルクスワーゲン ポロ マイスターシリーズの価格は以下の通り。

・ポロTSIコンフォートライン マイスター:2,449,000円

・ポロTSIハイライン マイスター価格:2,689,000円

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。