日産デイズルークス

<お買い得感あるVセレクションだが、デイズルークスのVセレクションは買い得感は今ひとつ?>

日産デイズルークス日産は、軽自動車のデイズ ルークスに特別仕様車「Vセレクション」を設定し発売を開始した。

軽自動車の開発は熾烈で、各社ドンドンと新技術を投入。日産デイズ ルークスは、自動ブレーキの開発がやや遅れており2014年12月に低速域の自動ブレーキや踏み間違い防止アシストが用意された。しかし、その後、日産は大きな決断をする。軽自動車も含んだすべてのモデルに、自動ブレーキである「エマージェンシーブレーキ」を標準装備化するというものだ。これは、英断だ。自動ブレーキは、交通事故現象に効果のある装備。これを顧客任せにせずに、全車に自動ブレーキを標準装備化したことは、交通事故減に大きく寄与することができ、社会貢献にもなる。軽自動車では、こうした自動ブレーキの装着が進んでいるが、コンパクトカーやその上のクラスでは未だ自動ブレーキの標準装備をためらうメーカーが多い中、日産の判断はまさに英断だ。

デイズ ルークスには、こうしたエマージェンシーブレーキを標準装備化だけでなく、サイドエアバッグまで標準装備化し、安全性能を高めている。日産がこうした安全装備を充実させる戦術をとったのには、それなりの理由がある。デイズ ルークスの燃費は26.2㎞/Lで、ライバル車となるスズキ スペーシアは、32.0㎞/L。この差は大きい。デイズ ルークスは、スペーシアに対して燃費性能は、大きく引き離されているのだ。

日産デイズルークスまた、安全装備面では、スペーシアはデュアルカメラブレーキサポート装備。デュアルカメラブレーキサポートは、歩行者検知式の自動ブレーキで、軽自動車の中では最も高性能なのだ。デイズルークスは、約30㎞/h以下の低速域限定の自動ブレーキで、車両に対してしか自動ブレーキは作動しない。安全装備の性能でも、完全にスペーシアに負けているのだ。

ただ、スペーシアにも隙がある。スペーシアのデュアルカメラブレーキサポートは、オプション設定。さらに、スペーシアには大きな落とし穴があり、サイドエアバッグが設定すらされていないのだ。スペーシアには、攻める大きな隙があったのだ。燃費性能等で負けているデイズ ルークスは、スペーシアと差別化するためにも自動ブレーキの標準化と、スペーシアには設定すらないサイドエアバッグを標準装備化することで、マイナス要因をプラスに変換している。これも、ひとつの戦術なのだ。もちろん、自動ブレーキなどの技術は自動運転化の基礎技術でもあるので、自動運転をアピールする日産にはピッタリだ。

さて、今回投入された特別仕様車「Vセレクション」は、量販グレード「X」および「ハイウェイスターX」をベースに、両側リモコンオートスライドドアや赤外線(IR)によるジリジリ感を抑制するIRカットガラス、アルミホイールなど、高い人気を誇る装備を装着している。さらに、インテリアでは質感を高めた内外装を専用装備とした。

日産デイズルークスまた、ボディカラーには、通常の設定色に加え、鮮やかさと深みを持つ爽やかなオーシャンブルーの2トーンを設定。「X Vセレクション」にはオーシャンブルーのボディにホワイトパールのルーフを、「ハイウェイスターX Vセレクション」にはオーシャンブルーのボディにブラックのルーフを用意し、カラーバリエーションは全16種類と豊富。なにかと実用重視になりがちな軽自動車だが、顧客に選ぶ楽しさを提供している点は好感がもてる。もちろん、両車ともエコカー減税に対応しており、一定の顧客メリットも提示できている。

気になる日産デイズ ルークスハイウェイスターX Vセレクションの価格は1,682,640円。ベースとなるハイウェイスターXの価格は1,620,000円なので、約6万円の価格アップとなった。プラスされた装備内容の価値は、まぁプラス6万円相当といったところで、ややお買い得といったところ。日産が設定する特別仕様車Vセレクションは、かなりお買い得感があったので、少々拍子抜けする印象だ。価格的には、微妙なとこを突いており、ライバル車と比べてもやや安めの価格設定。ただ、前述した通り、スペーシアは燃費性能と自動ブレーキの性能でデイズルークスを上回る。しかも、サイドエアバッグが設定されてもいない。価格と性能差をどう判断するかが購入のポイント。どのモデルも一長一短で、このクラスの軽自動車の選択は難しい。

■日産デイズ ルークス特別仕様車価格

●2WD
・X Vセレクション 1,499,040円
・ハイウェイスター X V セレクション 1,682,640円
●4WD
・X Vセレクション 1,620,000円
・ハイウェイスター X V セレクション 1,804,680円