日産ノート

<自動ブレーキの標準装備で交通事故減に貢献。さらに、クラストップレベルの燃費でエコカー減税免税に!>

日産ノート日産ノートがマイナーチェンジし、大幅に安全性能と燃費性能を高めて登場した。

日産ノートは、2012年8月にデビュー。広大な室内とミラーサイクルを採用した1.2Lスーパーチャージャーを搭載。このユニークなパワーユニットは、通常時は、1.2Lクラスの低燃費で、いざというときにはスーパーチャージャーにより1.5L並みの力強さをもつ。しかし、安全装備は物足りなく、デビュー当時は横滑り防止装置(VDC)が装備されていなかったのだ。

しかし、室内が広く、燃費も良いコンパクトカーということで、いっきに人気モデルとなる。今では、ハイブリッドのコンパクトカーが無い日産の国内販売を支える重要な車種となっている。

日産のマーケティングは、敏感にマーケットの状況に反応する。今までコストや販売価格優先ということで、横滑り防止装置が装備されていなかったが、自動ブレーキが話題になると、ノートは早速2013年12月エマージェンシーブレーキを装備できるようにした。最初から、こうしたマーケットになることは誰もが予想できたことなのだから、最初からやっていればよかったものの、リスクは取らないのというのも日産のマーケティングの特徴でもある。

そんな日産だったが、それなりのリスクを覚悟して、今回のマイナーチェンジでは自動ブレーキであるエマージェンシーブレーキを全車に標準装備した。多くの国産メーカーが、自動ブレーキの標準装備化に躊躇する中、日産の判断は大英断といえる。

とくに、日産の自動ブレーキは、歩行者を見つけ自動ブレーキをかけることができる。今のところ、歩行者を検知し自動ブレーキをかけるコンパクトカーはノートだけだ。トヨタ のアクア やヴィッツ 、ホンダ フィット 、マツダ デミオ にはそうした機能はなく、ノートのユニークさは際立つ。

ノートは、約60㎞/h未満で歩行者を検知し自動ブレーキを作動させることができる。この60㎞/hという比較的高い速度域から自動ブレーキが作動するというのが重要。対歩行者事故の場合、30㎞/h以下だと致死率は約10%程度と言われているが、50㎞/hを超えると、なんと致死率は約80%になるという。仮に、50㎞/hで走行していて、クルマが人より先に歩行者に気が付き、自動ブレーキをかけ停止すれは事故にはならない。もし、停止できなくても自動ブレーキで20㎞/h以上減速でき30㎞/h以下で、歩行者に衝突ということであれば、致死率はかなり低くなり死亡事故になるケースも低い。誰もが事故の被害者になりたくなければ、加害者にもなりたくない。

よく、自動ブレーキは必要がないという人がいるが、自分が歩行者の立場になっても同じことがいえるのだろうか? 人はミスを犯す、という前提になれば、そのミスをフォローしてくれるのが自動ブレーキの役目だ。

日産ノートまた、日産を含め、多くの自動車メーカーが安全思想として自社がかかわる死亡事故をゼロにしたいと宣言している。ところが、歩行者を検知する自動ブレーキを持っていても、オプション設定、もしくは設定すらない、というメーカーが多い。こうなると「本当に死亡事故ゼロにしたいの?」と誰もが思うだろう。この部分は、メーカー側の利益や都合が優先されている。とくに、販売台数の多いクルマや車重の重いクルマ(トラックなどを含む)ほど、こうした安全装備の普及が重要で標準装備化が求められる。

そうした観点から見ると、今回、日産の量販車であるノートがこうした標準装備化に踏み切ったのは、社会的貢献度は高い。今後、すべての車種に標準装備化することに期待したい。日産ノートの自動ブレーキは、こうした対歩行者検知の他、追突被害軽減ブレーキ、LDW(車線逸脱警報)を装備、踏み間違い衝突防止アシストなども用意される。

また、今回のマイナーチェンジでは、燃費も向上した。1.2L+スーパーチャージャーの「HR12DDR」エンジン搭載車に「停車前アイドリングストップ」を採用。クルマが停止する前からエンジンを停止し、よりアイドリングストップする時間を長くして燃費を向上させるシステムが投入された。さらに、2WD の全グレードで、エンジン、トランスミッションのチューニングの最適化を図り燃費を向上させている。ノートX DIG-Sの燃費は、24.0㎞/Lから26.2㎞/Lに向上。こうした低燃費化により、売れ筋グレードの「MEDALIST」および「X DIG-S」は「平成32年度燃費基準+20%」を達成しエコカー減税免税措置が適用された。ライバルとなるヴィッツ、デミオ、フィットのガソリン車は免税対応ではないので、大きなメリットとなる。

日産ノートコンパクトカーに、ハイブリッドやクリーンディーゼルを持たない日産にとって、やはり顧客メリットをどう提示できるのかが、今後のノートの販売台数を左右する。2015年度のエコカー減税は、ハイブリッド車以外、免税レベルを超えるのは難しいとされていただけに、今回の燃費向上はかなり気合の入ったものとなったはずだ。これで、ノートはクラストップレベルの安全性のと低燃費性能を得た。

装備面では、スポーティさやスタイリッシュさを強化しながら人気の高いLEDヘッドランプを標準化し、お買い得感ある価格設定とした特別仕様車「エアロスタイル」を用意。スポーティなデザインと走りを両立した「NISMO」も、ベース車の変更と併せて燃費を向上させた。今後、走行性能部分でのバージョンアップも期待したい。

日産ノートの選び方。ノートは非常にグレードのバリエーションが豊富。標準モデルに加え、個性派カスタマイズカーのライダーやアクシス、ニスモを含めると、数多くのグレードが存在するノート。高い走行性能を求めるのならニスモ、目立ちたいならライダーという選択になるだろう。また、お勧めは、1.2L+スーパーチャージャーの「HR12DDR」搭載車。燃費性能や動力性能面でバランスが取れている。価格重視というのなら、自然吸気のHR12DEとなる。

標準モデルのノートの選び方は、まずはX DIG-S(価格は1,694,520円)をベースとして選ぶといいだろう。このクラスでは、それほど安く見える価格ではないが、歩行者を検知機能付きの自動ブレーキも標準装備化されており、そこそこ満足できる装備と価格になっている。さらに、好みでLEDヘッドライトやアラウンドビューモニター、踏み間違え防止アシスト、ナビなどをオプションで選択するといいだろう。

■日産ノート(NOTE)価格

●HR12DEエンジン車
・X 2WD 1,464,480/X FOUR 4WD 1,676,160円
・MEDALIST X 1,594,080円/MEDALIST X FOUR 4WD 1,805,760円
・X エアロスタイル 2WD 1,669,680円/X FOUR エアロスタイル 4WD 1,881,360円

●HR12DDRエンジン車
・X DIG-S 2WD 1,694,520円
・MEDALIST 2WD 1,891,080円
・X DIG-S エアロスタイル 2WD 1,899,720円
・NISMO 2WD 1,967,760円 (HR16DE 2WD NISMO S 2,244,240円)