プジョー5008
<独立した7人乗りシートは、すべての乗員がリラックスして移動できる>
プジョー5008プジョー初の7人乗りミニバンとして投入された5008がフェイスリフトし発売を開始した。5008は、2013年2月に発売されたばかりなので、わずか1年程度でのフェイスリフトとなった。

5008に搭載されるエンジンは、1.6Lのダウンサイジングターボエンジン。156ps&240Nmというパワーとトルクを発揮する。1.6Lとはいえ、ターボ付きなので自然吸気エンジンの2.5L車並みトルクをもつ。そのため、余裕のあるクルージングが楽しみながら、11.7㎞/Lという燃費性能をもつ。急速に進む低燃費技術といこともあり、今では今ひとつの燃費となってしまった。5008のボディサイズは、全長4,530×全幅1,840×全高1,645mm。全幅が1,800mmを大きく超えているのが難点なのだが、全長や全高などは、日本でも使いやすいサイズといえる。

安全性能に関しては、話題の追突被害軽減自動ブレーキなどは装備されていないものの、6エアバッグや全席独立したシートに3点式シートベルトが装備されており、国産ミニバン以上の高い安全装備が装着されているので安心だ。また、全席独立した7人分のシートが用意されていて、全員が同じくリラックスしてドライブが楽しめる。多くの国産ミニバンなどは、小さな子供でないと2列目、3列目中央シートは実際には使いにくいことを考えると、実用性は高く、いかにも無駄なことを嫌う欧州車らしい仕上がりだ。

ただし、国産ミニバンと比較すると5008の選択を難しくしているのは、スライドドアを持たないことだ。小さな子供が乗ることのある顧客や、狭い駐車場での乗り降りを考えると通常のヒンジ式ドアでは、やはり使い勝手スライドドアが勝る。こういった傾向は、一世を風靡したホンダ ストリームやトヨタ ウイッシュなどがほとんど売れなくなった理由と同様だ。

ただし、デザインの洗練性や高級感という視点では、そうした国産ミニバン勢を凌駕する。運転席ヘッドレスト裏側に配置された7インチモニターなどが装着されるビデオパッケージや、カラーヘッドアップディスプレーなど、国産高級ミニバンを超えるような装備も用意されており、高級志向の顧客も納得の装備だろう。

プジョー5008今回のフェイスリフトでは、フローティンググリルの上部に、プジョーレタリングが新たに配され、クロームのリングとともにダイナミックなデザインとなり洗練された印象を際立たせている。さらに、LEDポジションランプ付きフロントヘッドライトが装備された。最近の流行であるLEDを巧みに使い、夜間であってもひと目でプジョー5008と分かるオリジナリティをもった。

5008のグレードは、5008Premium(309万円) と5008Cielo(339万円)の2タイプが用意されている。価格差は30万円。グレード間の相違点は、カラーヘッドアップディスプレーやバイキセノンヘッドライト、17インチホイール、パノラミックガラスルーフ(電動サンシェード付)、ルーフレールなどが大きな違いとなっている。これだけの豪華装備がプラスされているのなら、30万円の価値はある。

予算重視で乗るなら、5008Premium(309万円)で十分だ。これでも、まるでミニバンとは思えないようなプジョー独特のフットワークが堪能できる。ただ、オプションのレザーシートやリヤエンターテイメントシステムを選ぼうとすると、上級グレードの5008Cielo(339万円)でないと選べない仕組みになっているので、結果的に欲しくない装備まで付いてくるので注意が必要。高級ミニバンとしての価値を考えるのなら、5008Cielo(339万円)を選んだほうが、最終的に満足度は高くなるだろう。