日産エクソトレイル
<新型デビュー前の戦略的価格引き下げ?>
 日産は、人気SUVであるエクストレイルの価格改定を発表。ガソリンエンジンを搭載した4WDのエントリーグレード「20S」の価格を200万円を切る1,990,800円とした。日産エクストレイルは、2007年にフルモデルチェンジし2代目となった。200万円台という比較的リーズナブルな価格設定で、本格的な4WD性能をもつSUVとして登場。ヒットの要因は、価格以外に、アウトドアスポーツを楽しむための防水ラゲッジルームなどを装備するなど、道具としての使い勝手に優れていたからだ。
搭載されるエンジンは、2Lと2.5Lのガソリンエンジンが中心。売れ筋は価格が安い2L車。そんな中、2008年には低燃費性能に優れるクリーンディーゼル車をいち早く日本の排ガス規制に合わせた導入。しかし、300万を大きく超える価格や6MTのみという設定のため、販売台数は伸び悩んだ。その後、2010年のマイナーチェンジ時に、待望の6ATを搭載したクリーンディーゼル車を投入するも、こちらも同様に価格が高すぎた。その後、マツダCX-5のヒットでクリーンディーゼル車がメジャーになり、エクストレイルのクリーンディーゼル車は、装備を見直し価格を引き下げたが、残念ながらCX-5のように売れることはなかった。
今回は、エクストレイル20Sの価格2,190,300円だったものを199,500円も安くし、1,990,800円としている。20Sのひとつ上の上級グレード20Xの価格は2,449,650円なので、約46万円もの価格差が付いた。20Sと20Xの装備差は、本革巻きのステアリングやシフトノブ、インテリジェントキー、17インチアルミホイール、イモビライザーなど。シンプルに乗れればいいというのであれば、かなりお買い得な価格となる。ただし、価格引き下げは、リセールバリューも下がる可能性もあるので、短期の乗り換えではなく長く乗ることが前提になるだろう。
エクストレイルは、今年秋にフルモデルチェンジの予定。通常、フルモデルチェンジが近くなると、一般的には価格改定はせずに、販売現場での大幅値引き対応になるパターンがほとんど。クルマの価格は、一度決めると価格改定などほとんどないのが当たり前。それも、モデルチェンジ直前に価格改定など異例中の異例といえる。
日産はそれほどまでして、ギリギリまでエクストレイルを売りたいのだろうか? その理由は、2013年度のSUVナンバー1をエクストレイルで取りたいというものだ。2012年のSUV単独車種での販売台数ナンバー1は、マツダCX-5となってしまったからだ。日産はマーケティング戦略でナンバー1を連呼する。そのため、エクストレイルでも販売ナンバー1の称号が必要なのだ。価格改定してまでも、少しでも台数を積み上げフルモデルチェンジまで、しっかりと販売台数を積み重ねたいのだろう。
 また、昨年から国内販売のシェアを落としている日産としては、フィットを中心とし、多くの新型車を投入してくるホンダに対して危機感がある。国内シェアでホンダが日産を上回ることが予想できるだけに、1台でも多く売りたいということもあるだろう。ライバルは、CX-5だけではなくスバル フォレスターや2013年にはトヨタの新型SUV、年末にはホンダのフィットベースのSUVなどもデビュー予定なので、2013年はSUV激戦となる。
エクストレイルを購入リストに入れているのなら、当然、フルモデルチェンジしたエクストレイルを見てから決めるのがベスト。ただし、200万円を切る20Sの価格は、かなりインパクトのあるもの。ライバル車のCX-5やフォレスターなどのエントリーグレードより安い設定だ。さらに、値引きも期待できるので、デビュー直後のCX-5やフォレスターと支払総額の差は、かなり大きくなるはずなので、今まで、予算外だった顧客も取り込めることになる。予算重視であれば、お買い得感は十分なモデルといえるだろう。

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