モデル末期&繁忙期用の目玉車だが、それだけではない


トヨタは、人気ミニバンのエスティマ、エスティマハイブリッドを一部改良。さらに、アエラスをベースとした特別仕様車プレミアム・エディションををガソリン車とハイブリッド車にそれぞれ設定し発売を開始した。

トヨタ エスティマエスティマは、2006年にデビューし約8年が経過したモデル末期モデルだが、根強い人気を誇っている。さすがに8年も経過すると、最新のモデルと比べると装備面も古く感じてしまう。そのため、今回の一部改良では、主に快適性や利便性・安全性を高めた。脱臭機能を追加したクリーンエアフィルターを全車に標準装備。さらに、各部に設置されたカメラの映像をコンピュータ処理。車両を俯瞰から見たな映像に置き換え、ナビ画面に表示することができるパノラミックビューモニターやクリアランスソナー&バックソナーをオプション設定した。このパノラミックビューモニターは、ミニバンの多い死角をカメラの映像を通して確認できるので、周囲の安全を確認できる便利な機能。小さい子供が、クルマの真後ろにいることに気が付かずバックして轢いてしまうなどの事故防止にもなる。

トヨタ エスティマ特別仕様車は、人気の2.4アエラスをベースとした「トヨタ エスティマ2.4アエラス“Premium Edition”」とエスティマハイブリッド特別仕様車「トヨタ エスティマハイブリッド アエラス“Premium Edition”」だ。

ガソリン車の外観は、アウトサイドドアハンドルなどに、メッキ加飾を施しプレミアム感をアップ。インテリアには、専用ブラックパネルにサテン調シルバー加飾モールを組み合わせたインストルメントパネルを特別装備。さらに、シルバーステッチを施した合成皮革+トリコットのシート表皮などを特別装備し、上質で高級感ある内装に仕上げている。また、ガソリン車のには、電動マルチアジャスタブルフロントシートを装備し利便性をアップした。

走りの質をアップするパフォーマンスダンパーまで装備


トヨタ エスティマ フロントのパフォーマンスダンパー

一般的に、特別仕様車は繁忙期に販売台数をアップさせるためのテコ入れとして投入されることが多い。そのため、利便性や快適性が高まる装備を中心に行われ、単純にお買い得感をアピールするパターンが多い。ちょこっと快適・利便性アップ装備を装着したお手軽特別仕様車がよく出てくる。しかし、このエスティマ プレミアム・エディションは、少々違う。今回は、走りの質をアップさせるフロントパフォーマンスダンパーが特別装備されているだ。こういった走行性能に影響する装備は、当然、安全性・耐久性など多くのテストを繰り返さなくてはならないため、コストと時間がかかるため、お手軽特別仕様車には装着されないケースがほとんど。そういう意味では、お手軽ではない特別仕様車ともいえる。

パフォーマンスダンパーは、ヤマハが開発したボディの変形を抑制し、高い運動性能と安定した走行性能を両立するパーツ。あまり感じたことがないかもしれないが、クルマのボディは走行中に振動し変形している。そのわずかな振動や変形がサスペンションなどにも影響し、クルマが安定しなかったりする。とくに、エスティマのように大きくて重量級のボディには、効果があるアイテムとも言える。特別仕様車の名前がプレミアム・エディションというだけあり、走りの質にもプレミアム感を出しているのは好感が持てる。

モデル末期のエスティマは買いか?否か?


価格は、トヨタ エスティマ 2.4アエラス プレミアム・エディションが309万円。ベース車より8万円高。トヨタ エスティマハイブリッド アエラス プレミアム・エディションが410万円。ベース車より3.8万円高となっている。パフォーマンスダンパーを普通に1本購入するだけでも、約4~5万円がかかり工賃も発生する。そう考えると、その他に上級装備がプラスされたプレミアム・エディションはお買い得感が高い。通常のモデルには、パフォーマンスダンパーは装着されていないので、走りの質を求める顧客にも合うだろう。

ただ、この特別仕様車を諸手を挙げて、良いとも言えない理由もある。トヨタ エスティマは、完全にモデル末期のモデル。そのため、さすがに最新のモデルと比べると古さは隠せない現実がある。さらに、エスティマは、そろそろフルモデルチェンジという声も聞こえてくる。2013年中のフルモデルチェンジは無いようだが、いずれ大幅に進化したエスティマが登場するとなると、新型車を待っていた方が満足感は高いだろう。

どうしても購入というのなら、やはりハイブリッド車を中心に選ぶといいだろう。トヨタは、今後すべての車種にハイブリッド車を投入するくらいの勢いになっている。さらに、最新のクラウンやレクサスISも約70%がハイブリッドを選択していることからも、マーケットもハイブリッド一色といっていい状態だ。そうなると、中古車マーケットもしばらく遅れるにせよ、ハイブリッド人気になることは確実。そのため、ガソリン車を買ってしまうと、リセールバリューが大きく落ちることが予想されるからだ。

トヨタ エスティマ特別仕様車価格


特別仕様車2.4アエラス“Premium Edition” 3,090,000円
特別仕様車アエラス“Premium Edition” 4,100,000円

主な特別装備

▽ メッキモール*1
▽ バックドアガーニッシュ(メッキ)
▽ 専用加飾(ブラックパネル)
・フロントドアアームレスト(サテン調シルバー加飾モール付)
・ロングスライドコンソールボックス(ブラックマイカ天板/格納式カップホルダー付) <エスティマ>
・セカンドシートサイドテーブル(ブラックマイカ天板) <エスティマハイブリッド>
▽ ソフトレザートリム(フロントドア/スライドドア/クォーター)
▽ LEDスポットランプ(フロントドア/スライドドア 左右)
・ウェルキャブ(メーカー完成特装車)についても、ベース車と同様の一部改良を施している。
*1 エスティマハイブリッド車は、ベース車に標準
*2 運転席8ウェイシート(前後シートスライド・リクライニング・シート上下・チルトアジャスター)

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