BMW 5シリーズ「530i セダン」 エクステリア

達人「松下 宏」が斬る!

BMW 5シリーズ「530i セダン」 評価

松下 宏

職業:自動車評論家
中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。そのため、大本命といわれている車種さえ外して...

モデル後期に入り、いよいよ熟成極まる5シリーズ

BMW 5シリーズ「530i セダン」 異形丸目4灯ヘッドライト

 BMWの5シリーズが発売されたの2003年7月だから、すでにモデルサイクルの後半というか終盤が近くなってきたのは確か。BMWでは7シリーズのほうがさらに古いので7が先にフルモデルチェンジされるだろうから、5シリーズはしばらくは現行モデルのままで生産が続けられるはずだ。
 7シリーズと同様、デビューした当初はかなり違和感を感じた5シリーズのデザインも、最近では見慣れたためかそれほど違和感を感じなくなった。5シリーズに比べちょっとおとなしい感じの3シリーズが登場したことも影響していると思う。

 運転席に乗り込むと、そこにはBMWならではのパーソナルな空間が広がる。ドライバーを中心にデザインされたコクピット感覚の運転席は、さあ運転を楽しもうという気分にさせてくれる。乗降性をスポイルすることなく優れたホールド性を確保したスポーツシートも好感の持てるものだ。
 インテリア回りの操作系はiDriveが基本になっていて、この操作に慣れるには少し時間が必要。まあオーナーになればあまり迷わずに操作できるのだろうと思うのだが、たまに乗ると操作したい画面を呼び出す段階で迷ってしまうことがある。
 ステップトロニックの6速ATは従来と変わらないが、セレクターレバーのデザインが変わって操作方法にも若干の違いが生じている。今後はこの530iのようなレバーの位置でポジションを決めるのではないタイプが増えていくのだろう。

BMW 5シリーズ「530i セダン」 リアシート
試乗車の530iにはダコタ・レザーが標準装備。写真のベージュ以外にもブラックやブラウンなど6色の内装色が選べる他、オプションでさらに上質なレザーを選択することも可能だ。
BMW 5シリーズ「530i セダン」 フロントシート
フロントはメモリー機能付き電動シートが標準。オプションでスポーツシートや、クッションの長さなども電動調整可能なコンフォートシートなども設定可能となっている。
BMW 5シリーズ「530i セダン」 インパネ
インパネ中央のコントロールディスプレイは大型8.8インチの8:3ワイド型。美しく視認性が高いアドバンスドTFT液晶を採用する。もちろんiDriveやHDDナビも全車標準だ。
BMW 5シリーズ「530i セダン」 エクステリア

サイズを感じさせぬ軽快さはさすが

BMW 5シリーズ「530i セダン」 リアコンビランプ

 530iを走らせると感じるのは軽快さだ。BMWの上級セダンで車両重量も1600kg台とけっこう重いのだが、走りのフィールは軽快そのものといった感じである。例によってほとんど50:50に設定された前後重量配分による走りのバランスの良さが、軽快感につながる大きな要素なのだろう。
 アクティブステアを採用したやや小振りなステアリングホイールもきびきびした操舵フィールと確かな手応えによって走りのスポーティさ、軽快さを生み出している。
 今では極めて稀少かつ貴重な存在となった直列6気筒の3.0Lエンジンは、自然吸気で200kW/315N・mのパワー&トルクを発生する。ほんの少し前までは3.0Lの自然吸気エンジンでは200ps(150kW)が相場だったが、この3.0Lエンジンは200kW(272ps)を発生している。動力性能の数字だけでなく、バランスの良い直列6気筒エンジンらしく吹き上がりのスムーズさも上々のもの。シルキーシックスという言葉を改めて思い出させるような吹き上がりを示した。
 マニュアル操作をしたときに瞬時に滑らかにつながる電子制御6速ATの変速フィールも悪くないし、レバーの操作感もまずまず。スポーティな走りを楽しみやすいパワートレーンといえる。

BMW 5シリーズ「530i セダン」 直6 3.0リッターエンジン
530iに搭載されるN52B30A型直6 3.0リッター DOHCエンジン。BMW自慢のダブルVANOSやバルブトロニックも採用し、パワーと燃費という相反する性能を両立させる。
BMW 5シリーズ「530i セダン」 ステップトロニック6速AT
ステップトロニック6速ATは、07年初夏のマイナーチェンジでモダンな新デザインのセレクターレバーに変更された。レバーを左に倒すとマニュアル操作も可能となる。
BMW 5シリーズ「530i セダン」 225/50R17タイヤ+アルミホイール
225/50R17タイヤ+ラジアルスポーク7.5Jx17アロイホイールは標準装備。もちろん、豊富なオプションリストの中から様々なデザイン・サイズのタイヤ&ホイールを選択することも可能だ。

"プレミアム"なプライスにサプライズ!

BMW 5シリーズ「530i セダン」 キドニーグリル

 乗り心地も悪くない。BMWでは最近ランフラットタイヤの採用を拡大しているが、この530iが履いていたのが標準タイヤだったことも乗り心地に貢献していると思う。オプションでランフラットタイヤも用意されているようだが、積極的に選択するほどでもないように思う。
 530iの価格は764万円の設定だが、ヘッドアップディスプレーやナイトビジョンなどの安全装備がオプション装着されていて、オプション価格の合計が92万円。トータルすると856万円の車両価格となる。諸費用を含めた金額では軽く900万円を超える。ドイツのプレミアムブランド車に乗るには、これくらいの予算が必要ということだ。

BMW 5シリーズ「530i セダン」 エンブレム
BMW 5シリーズ「530i セダン」 リアビュー
BMW 5シリーズ「530i セダン」 フロントビュー
BMW 5シリーズ「530i セダン」 リアビュー

written by 松下 宏

試乗車
BMW 530i セダン
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4855x1845x1470mm
車両重量[kg]
1650kg
総排気量[cc]
2996cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
272ps(200kW)/6650rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
32.1kg-m(315N・m)/2750rpm
トランスミッション
ステップトロニック 電子制御6速AT
10・15モード燃焼[km/l]
9.4km/L
定員[人]
5人
税込価格[万円]
764.0万円(標準仕様)
発売日
2007年6月30日
レポート
松下 宏
写真
和田 清志
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