初代 RS型 トヨペット クラウン誕生 

トヨタ クラウン 歴代モデル【初代クラウン RS系】トヨペット クラウン 1900デラックス

全ては観音開きから始まった

トヨタ クラウン 歴代モデル【初代クラウン RS系】

 戦後の復興が進み、高度経済成長の足音が聞こえ始めた1955年。自動車業界では、日産が英・オースチン製、日野が仏・ルノー製、いすゞが英・ヒルマン製など、海外メーカーの開発した乗用車を日本国内でノックダウン生産するのが主流だった。
 そんな中、トヨタだけは純国産乗用車として世に送り出してきた。それが、初代「トヨペット クラウン」である。クラウン栄光の歴史がここから始まる。
 初代モデルといえば、観音開きドアが採用されたことがまず第一の特長にあげられるだろう。一説には、当時後部座席に乗る富裕層の多くが着物を着ていたことから、彼らの乗降性に配慮しての採用だったとも言われている。

トヨタ クラウン 歴代モデル【初代クラウン RS系】

営業車需要も初代から

 当時の乗用車はいずれも、今のような個人所有車よりもタクシーやハイヤーといった需要が中心だった。もちろんクラウンも例外ではない。特筆すべきは、この時代に純正オプションでエアー式の自動ドアを設定していた点。いかにもトヨタらしいきめ細かい配慮の姿勢は、この時代から始まっていたのだ。今でも脈々とクラウンの需要をタクシー業界が支え続けているのは、そういった信頼関係の積み重ねによるものなのかもしれない。
 エンジンは、当時の小型車規格に合わせてR型4気筒1500ccOHVエンジン(48PS)を搭載している。ただし決して満足いく性能ではなかったようで、マイナーチェンジにより3R型4気筒1900cc(90PS)が搭載され、大きく走行性能が向上することになった。国産初の前輪独立懸架方式の採用により、舗装路が少ない時代でもその良好な乗り心地は乗客にも好評であったという。また、すでにディーゼル車やトヨグライド(AT)車もラインナップされるなど、他メーカーのライバルをすでに大きくリードしていたのだった。

written by ダーワ教授

初代クラウン あれこれ

■発売期間:昭和30(1955)年〜昭和37(1962)年
■主な型式:RS、RS20、RS30
■広告キャッチコピー:「ロンドンからトヨペットで」
■絶版中古車市場相場目安50〜250万円
■登場作品 映画「大冒険」「ALWAYS 3丁目の夕日」「007黄金銃を持つ男」など
トヨタ クラウン 歴代モデル【初代クラウン RS系】
全体的に丸みを帯びたデザインが特長の前期モデル 搭エンジンはR型1500ccが搭載される。
トヨタ クラウン 歴代モデル【初代クラウン RS系】
マイナーチェンジによりエッジのきいたスタイルになった後期型 エンジンも3R型1900ccに進化した。
トヨタ クラウン 歴代モデル【初代クラウン RS系】
初代モデル最大の特長とも言える観音開きタイプのサイドドア。前後のドアノブが並んでいる姿が新鮮。
トヨタ クラウン 歴代モデル【マスターライン RS系】
初代クラウンに比べて、商用車らしくエンブレムなどのメッキパーツが控えめになっている。バリエーションにピックアップもあった。
トヨタ クラウン 歴代モデル【マスターライン RS系】
同年代のアメ車を意識したデザインを採用しており、リヤゲートは上下2分割となっている。ガラスが上方に、ドアが下方に開くレイアウト
トヨタ クラウン 歴代モデル【初代マスターライン】
初代クラウンと同時に発売されたタクシー向け車輌トヨペット マスターをベースに開発された初代トヨペット マスターライン

当時のライバルモデル

ライバルモデル【日産 セドリック H31系】
当時、日産を代表するフラッグシップセダンだったのが初代日産 セドリック。 前期モデル30系は縦目ヘッドライトを採用していたがマイナーチェンジで画像の後期モデルとなった。
ライバルモデル【プリンス グロリア S40系】
ハチマキを巻いたようなデザインで親しまれているプリンス グロリア S40系 G7型エンジンは、日本グランプリで性能の高さを証明した。
番外編【トヨタ オリジン】
初代クラウンをモチーフとしたデザインを採用しているのがトヨタ オリジン 2000年11月にトヨタ自動車生産累計1億台達成の記念車として1000台限定で発売された。

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    達人プロフィール: ダーワ教授
    職業:生きるクルマデータベース、世界の車種・グレードすべての知識を持つ恐ろしい奴。
    中古車情報誌から、自動車販売店・解体屋・ミニカー屋など現場の世界と転々と。基本的に車好きが抜けないようで中古車ブローカー(本人認識無し)と貿易輸出業などを掛け持ち、現在に至る。車の趣味嗜好も偏っており、車と共に本人的にも社会的不適合車(者)です。趣味と...