クルマの光沢を低下させる原因は、塗装面に刻まれた無数の小傷

クルマの塗装は、数々の外的要因によって簡単に傷が刻まれ、時間経過とともに光沢を失っていきます。ここでは、簡単な作業で新車のような眩い光沢を再現する方法を伝授します!!

研磨作業施工前

塗装面に無数に刻まれた細かい傷

 特に黒、紺、赤などの濃色車に目立つ細かい傷。取材車は、8年目を迎え、太陽光線の下では、ご覧のとおり、細かい傷が原因で乱反射を起こしています。この細かい傷が塗装面の光沢を低下させる原因なのです。
 これら細かい傷を埋めることにより、目立たなくするケミカルも存在しますが、あくまでその場しのぎ。研磨作業にて塗装面を平坦化することで、乱反射のない、美しい光沢を復元することが出来ます。

研磨作業施工後

乱反射が軽減し映りこみのあるシャープな光沢に

 一切、“ヤラセ”なしの画像です!超微粒子コンパウンドと、スポンジによる丹念な研磨作業で、ここまで細かい傷を消すことが出来ました。施工前と同じ部分の撮影ですが、木の枝が塗装面に映りこむほど鏡面状態に。
 細かい傷が顕著に見える太陽光線下でも、乱反射を抑え、鏡面を復元していますので、いかなる光線下でも、“ハッと”するほど、眩い光沢を放っています。
 この状態で、保護皮膜であるワックスやコーティング剤を塗布すれば、本来の性能を100%発揮することが出来ます。

研磨作業スタート!

スポンジが半分くらい潰れる力をかけて、塗装面を擦る
握り手部分にウレタン素材がついたスポンジと、超微粒子コンパウンドを用意。そして、小さじ一杯程度のコンパウンドを取り、塗装面に叩くように馴染ませる。スポンジは半分くらい潰れる位の圧力を掛ける。
スポンジを両手で包むように握り研磨開始
両手でスポンジを包むよう持つ。スポンジが、半分以上潰れるくらいの力を入れ、「タテ、ヨコ、タテ」と磨いていく。しばらくする「キュッ、キュッ」という音がしてくるが、気にせずそのまま、作業を行っていくと、音が消え、一回目の研磨終了の目安となる。
スポンジにかける圧力を弱め、再び研磨
再び、コンパウンドをスポンジに小さじ一杯程度取り、スポンジに掛ける圧力を弱めながら、研磨をしていく。要領は前工程と同じく、「タテ、ヨコ、タテ」のパターンで磨き、「キュッ、キュッ」という音の後、手応えがなくなり、音が聞こえなくなったら、研磨作業は終了となる。
仕上げに、ネル地を使って研磨粉をふき取る
仕上げに、ネル地を使い、研磨粉を払い落とすように、拭き取っていく。せっかく傷を除去したにも関わらず、この時点で傷を刻まないように、あくまで優しく作業を行う。この作業で消せる傷は、渦巻き状の細かいものであり、爪が引っかかるようなものは、補修できません。

手作業のみで光沢を取り戻したボディは、吸い込まれそうな輝き!

ドアの小傷もほとんど消えました

 ボディのサイドラインにも、細かな傷が無数に刻まれていましたが、ご覧の様に乱反射のない美しい光沢が復活。撮影したカメラが映りこんでいることからもいかに、鏡面状態かお分かりいただけると思います。

Cピラーのラインも光沢を復元したことで、よりクルマがしまって見えます

 この輝きが、8年経過したクルマに見えますでしょうか?Cピラーのラインやサイドラインも、光沢を増したことにより、よりクルマのデザインが強調されて見えます。
 クルマ全体を仕上げるには、中型車で5〜6時間を要しましたが、この作業を自らの手で行った満足感は、何ものにもかえられません。(洗濯物まで映りこんでしまったのは、ご愛嬌ということで。)

 次回は、この状態を保護するためのワックス掛け工程を、お伝えいたします。

使用したコンパウンドは、プロご用達の「エターナル」

ナノ粒子採用の「エターナル」で作業を行いました

 エターナル「塗面光沢復元剤」
 一般に超微粒子コンパウンドが1ミクロン程度の粒子を採用しているのに対して、このエターナルは、1メートルの10億分の1というナノ粒子を採用。一般的な超微粒子コンパウンドが、野球のボールサイズだとすれば、パチンコ玉くらい細かい。そのため、塗装を痛める心配は皆無。透明樹脂の傷取りにも使用できる。実勢価格¥2200

written by 外川 信太郎