クライスラー ジープ コマンダー

ジープの頂点に君臨すべく登場した最上級モデル "コマンダー"

 ジープブランドのフラッグシップモデルとして登場したのがコマンダー。基本プラットホームはグランドチェロキーと共通ながら、チェロキーやグランドチェロキーの上に位置する最上級車として開発された。

大きく見えるデザインで、もともと大きいボディがもっとワイルドに

クライスラー ジープ コマンダー

 外観デザインは縦型のフロントグリルなどジープブランドのアイデンティティーを確保しているが、グランドチェロキーが張りのある面で構成される丸みを帯びたデザインを採用するのに対し、コマンダーが角張ったデザインが採用されており、これによってより大きなクルマに見える。

 ボディサイズは全高は大きく拡大されているが、全長はグランドチェロキーに対して+35mmという水準に抑えられており、比較的優れた取り回し性も含めて大きすぎるというほどではない。

クライスラー ジープ コマンダー
歴代のモデルをほうふつとさせるデザインを採用し、ジープブランドトップとしてのプライドを誇示。しかしそれは形のみならず、クルマ作りの精神にも息づいている。
クライスラー ジープ コマンダー
ジープならではの7本ラインスロットグリル、丸型イメージのヘッドライト、シャープなラインなどで独特の存在感を誇るコマンダー。しかし新鮮でありながらどこか懐かしい。
クライスラー ジープ コマンダー
フラットな外部パネルを採用するプレーン&クリーンなデザインが魅力的。そんなデザインのためか、大きいコマンダーがさらに大きく見えてくる。

SUVの枠を越えた、ミニバンのようなスペースユーティリティ

クライスラー ジープ コマンダー

 室内には3列シートが用意され、ミニバン感覚の使い勝手も可能。2列目のシートはリクライニングするほか、2列目と3列目のシートは座面が段々に高くなっていて、後席に座っても前方視界がしっかり確保されるような工夫が凝らされている。

クライスラー ジープ コマンダー
しっかしした造りで格調高いファーストシート。アメ車ならではのたっぷりとしたサイズで乗員を包み込む。
クライスラー ジープ コマンダー
ミニバン並の使い勝手を実現する "要" がこのセカンドシートだ。快適性などシートとしての本分を疎かにすることなく、多彩なアレンジを実現する。
クライスラー ジープ コマンダー
サードシートを備える3列シートを採用しているのが "コマンダー" のポイント。シアター状シート配置&ルーフ形状により驚きの快適性を誇る。
クライスラー ジープ コマンダー
直線基調のアメ車古典と、最新テクノロジーが融合した形のインパネ。アメリカSUVならではの風格を感じさせながら、乗用車のような親しみやすさも兼ね備える。
クライスラー ジープ コマンダー
アウトドアユースを意識して電源が用意される。国産車ではよくありそうな装備だが、これだけの高級SUVが装備してくれているのはうれしい。
クライスラー ジープ コマンダー
"コマンドビュー" と呼ばれる革新的なシェード付サンルーフを装着。開放感を高めてくれる魅力的な装備である。

外見に負けない "ド迫力" の走りを実現する5.6リッターHEMI

クライスラー ジープ コマンダー

 搭載エンジンはV型8気筒の4.7Lと5.7Lの2機種。5.7Lは当然ながらHEMIエンジンだ。今回試乗したのはHEMIエンジンを搭載したリミテッド5.7で、大排気量エンジン車らしい余裕のある走りが可能。240kW/500N・mの実力は乗用車である300C用に比べるとわずかにデチューンされているが、圧倒的な動力性能であるのは変わらない。しかもこのエンジンはOHV方式でありながら、クルージング時には4気筒を休止させて燃費を向上させるシステムなども組み込んでいる。

 車両重量は2300kgに達するが、アクセルを踏み込めば発進時から元気の良い加速を見せる大柄な重量級のボディをぐいぐい引っ張っていくだけの実力がある。5速ATは1速で70km/hまで引っ張るので豪快な加速感が味わえる。このATはオートスティックと呼ぶシーケンシャルモード付きで、レバーを左右に動かすことによってシフト操作をすることが可能だ。

 4WDシステムはグランドチェロキーと同じ電子制御式の4WD。フロント、センター、リヤの3個所にLSDが組み込まれており、3輪が浮いた状態になっても1輪に駆動力を伝えることで脱出できる。今回の試乗はオンロードでの試乗だったが、この4WDシステムの良さはグランドチェロキーのときに実証済みだ。

クライスラー ジープ コマンダー
クライスラー ジープ コマンダー
クライスラー ジープ コマンダー

現実的な選択は4.7リッターと言うことになるか?

クライスラー ジープ コマンダー

 HEMIエンジンの搭載車では価格も600万円台後半に達し、価格の面でもフラッグシップらしいものになるから、現実的な選択となるのは4.7かも知れない。ガソリン価格が高騰しているのはコマンダーにとっては逆風だが、日本では面白がってハマーH2やH3に乗るユーザーがいるから、そんなユーザーにとってはコマンダーも十分に選択肢に入るだろう。

代表グレード
リミテッド4.7
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4795×1900×1830mm
車両重量[kg]
2310kg
総排気量[cc]
4700cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
231ps(170kw)/4500rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
41.8kg・m(410N・m)/3600rpm
ミッション
5AT
10・15モード燃焼[km/l]
5.6km/l
定員[人]
7人
税込価格[万円]
599.5万円
発売日
2006/05
レポート
松下 宏
写真
佐藤 靖彦