日本勢への期待は高まるが・・・

10月9日午後2時、15万6千人の観客と世界中のテレビ視聴者が見守る中、20台のマシンが轟音と共にスタートした。

F1グランプリ第18戦鈴鹿ラウンドは、最終戦の中国・上海グランプリを残し、コンストラクターズ争いが白熱した状態で開幕した。現在トップのマクラーレン・メルセデスと2位のルノーのポイント差はわずか2ポイント。マクラーレンが1−2位フィニッシュを決めれば確定するが、ルノーが上位でゴールすると最終戦の中国までチャンピオン争いは持ち越しとなる。

また、今回は日本の佐藤琢磨選手(B・A・Rホンダ)に期待がかかり、鈴鹿入賞率100%を更新できるかに注目が集まった。ちなみに、今期の琢磨は入賞がわずか1回(5位入賞も失格、2戦出場停止の影響もある)。1ポイントしか獲得していないため、日本のファンは是が非でも琢磨に入賞、いや表彰台に上がって欲しいと願っている。

序盤は荒れ模様の展開

午後2時のレーススタートと共に1コーナーへとなだれ込む各車、その中で琢磨と来期B・A・Rホンダへ移籍するフェラーリのルーベンス・バリチェロがコースアウト。コースアウトした琢磨にバリチェロが突っ込む形で共にダメージを負った。荒れ模様の展開である。
そして、1周目の最終コーナーで後方から追い上げるマクラーレン・メルセデスのファンパブロ・モントーヤにザウバー・ペトロナスのジャック・ビルニューブが接触。モントーヤがコースサイドに弾かれ、マシン撤去が終了するまでセーフティカーの先導によりレースがコントロールされた。
この影響を最も受けたのが、ポールポジションからスタートしトップを快走するトヨタのラルフ・シューマッハだ。ラルフは少ない燃料でブッチギリのレース展開を狙っていたが、セーフティカーの導入で後続との差はつまり1周で2秒ほど差をつける予定が、セーフティカーがいなくなる7周目までの戦略が無駄になってしまった。

7周目にレースが再開され、トップのラルフが2位以下を引き離し快走するが、最初に燃料給油の為にピットインしたのもラルフ。トップはルノーのジャンカルロ・フィジケラへと移り、この後B・A・Rホンダのジェンソン・バトンらが一時トップを走るも、実質的にはフィジケラがトップを快走。

世代交代を感じるアロンソ&ライコネンの猛追

7周目にレースが再開され、トップのラルフが2位以下を引き離し快走するが、最初に燃料給油の為にピットインしたのもラルフ。トップはルノーのジャンカルロ・フィジケラへと移り、この後B・A・Rホンダのジェンソン・バトンらが一時トップを走るも、実質的にはフィジケラがトップを快走。

しかし、そこへ鬼のような走りで後方から追い上げるマシンが2台。今年史上最年少でF1チャンピオンに輝いたルノーのフェルナンド・アロンソとマクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネンの二人。
二人とも土曜日の予選では運悪く、雨が降りしきる悪い路面コンディションのため予選で16位と17位のかなり後方からの追い上げとなっていた。しかし、トップに対して1周で約2秒近いタイム差で追いあげる。特に、レース中盤に昨年王者であるフェラーリのミハエル・シューマッハを二人で攻め立て、抜き辛い鈴鹿サーキットで見事オーバーテイク(追い越し)を決めた。ピットインの関係もあり、アロンソはミハエルを2度もパスする見事な走りで、その後も二人は着々と順位を上げていく。

そしてレース終盤には、2回ピットストップのフィジケラを抜き、そこまで1回ピットストップのライコネンがトップを快走している。残りレースは10周となっているため、ひょっとしたらライコネンは1回ストップの戦略かと思われた。(次ページへ)

< 前のページ [ 1] [ 2] 次のページ >
達人プロフィール: CORISM編集部
職業:自動車情報サイト「CORISM」編集部
今ネットで最も注目される(自称)新進気鋭の自動車メディアサイト『CORISM』編集部。07年より日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員にも任命されるなど、着々とメディアとしてのパワーを拡大しつつあるのは確かだ。