従来から約20%アップしたハイブリッドシステム

1.3リッターながら、1.8リッター並のパフォーマンスを発揮するハイブリッドシステム

 ハイブリッドといえば、トヨタというイメージが強い。それに対向してというわけではないが、ホンダも今秋発表予定の新型シビックに搭載するハイブリッドシステムと、新型1.8リッターエンジンを発表した。独創のホンダらしく、トヨタとはひと味違うアプローチでハイブリッド車に取り組んでいる。
 
 今回のハイブリッドシステムを簡単にまとめると、従来のものから約20%出力を高め、約5%の燃費向上を実現した。システムの最高出力は95+20ps、最大トルクは17.0kg-mとなり、1.8リッタークラスの走りができる計算だ。

 今回のポイントとなるのは、低回転・高回転・気筒休止の3段階でバルブ制御を行なう「3ステージi−VTEC」エンジンによるところが大きい。さらに、充填効率の向上や徹底したフリクションの低減などにより大幅なパワーアップが図られた。従来型のエンジンが86psなので、95psを発揮する新エンジンは9psアップした計算になる。

 エンジン同様にモーターもパワーアップした。ホンダ独自開発の新構造ロータやコイルの平角線化、高性能磁石などの採用により、トルクで+14%、パワーで+50%も大幅に向上している。

 従来のシビック・ハイブリッドは、確かに燃費は良いが、正直なところホンダらしい元気の良い走りとは少々縁遠いところにあった。今回の新型ハイブリッドエンジンの投入で、ホンダらしい走りが復活する予感でいっぱいだ。さらに、パワーアップしながら燃費が5%向上しているというのだから、ユーザーの得るメリットは大きい。

世界トップレベルの1.8リッターエンジン

 また、新ハイブリッドシステムと同時に2.0リッター並みのパワーと1.5リッター並の低燃費を両立したという新1.8リッターi−VTECエンジンもリリース。このエンジンは、まさにエンジンのホンダというべきもので、大小多くの技術が投入されている。大きなところでは、電子制御スロットルバルブによる緻密な可変吸気量制御や可変管長樹脂インテークマニホールド、ピストンオイルジェットなどなどの技術を投入。それらにより、140psのパワーと17.7kg-mのトルクを発揮する。スペックでは、まさに世界トップレベルのエンジンだ。ホンダの車内測定値では、平成17年度排出ガス基準75%レベルもクリアしているという。
 
 まさに、独創技術のオンパレードといえる新エンジンを搭載する新型シビック。従来型は、販売面では今ひとつだっただけに、新エンジンの搭載でますます注目されるに違いない。

レポート:大岡智彦
写真:徳田 透

シビック用ハイブリッドエンジン

ハイブリッド用エンジンは、走行状況により、3段階でバルブを制御。気持ちの良いレスポンスと低燃費を実現。

シビック用ハイブリッドエンジン

同クラスのエンジンに比べ、約5キロもの計量化も実現した。

シビック用ハイブリッドエンジン

容積を約13%小型化し性能の向上させたIPU。

シビック用ハイブリッドエンジン

コイルを丸線から平角線にするなどしトルクで14%、パワーで50%アップした新型モーター。