昔のモダンをを今の新しさに
ダイムラー・クライスラー日本は、同社のフラッグシップモデルであるセダン、クライスラー・300Cを2月5日から発売すると発表した。
クライスラーは、アメ車のデザインが最も世界の憧れを集めた時代のクルマをモチーフにしたニューモデルを次々と発表している。今回の300Cも、50年代後半に人気を集めたクライスラー・300をモチーフにプレミアムセダンのパフォーマンスを追求したものである。
往年のアメリカンセダンを思わせるロングノーズにショートデッキのスタイリング、18インチホイールを履いたボディラインが作り出すボディフォルム。ヘッドランプとフロントグリルの組み合わせはクライスラーならではの威厳を湛えている。丸型テールランプに走る水平なラインはオリジナルの300を彷彿とさせるという。
何よりも新型300Cの自慢はクライスラーが独自に開発した新HEMIエンジンだ。これはかつて60年代から70年代にかけてアメリカのレース界で一世を風靡したエンジンを最先端の技術で復活させたものである。5.7リッターV8エンジンで340馬力のパワーを発揮するだけでなく可変シリンダーシステム(MDS)を採用し、パワーが必要ない場合は8気筒あるうち4気筒への燃料供給を停止することで、他社V8エンジン搭載車と比べ10%〜20%の燃費向上とを両立している。
伝説になったパワーユニットを搭載した誇りは、インテリアにも余すところなく現れている。ブラックとシルバーを基調としたモダンな室内には、レザーシートや本木目を使用したステアリングホイールとシフトノブ、そしてボストンアコースティック製のサウンドシステムが装備されて高級感が漂っている。
クライスラー・300Cは世界一の発行部数を誇る米国の自動車誌“MOTOR TREND”(モータートレンド)の「2005年カー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれており、ニューヨーク国際モーターショーや05年デトロイトショーでも出展され話題を呼んだモデルの発売が待たれる。
最近では、ドレスアップ&チューニングのイベント「東京オートサロン」でこの300Cが早くもベースとなり、多くのエアロパーツやホイールなどが展示されていた。そんなところからも、日本での300Cの人気が火が着き始めているのも事実。どちらかというと、地味な感じのクルマが多いこのクラス。300Cのような個性派の登場は、高級セダンのあり方に一石を投じることにもなりそうだ。
代表グレードの5.7リッターのほか3.5リッターも展開されている。5.7リッターの駆動はFR、トランスミッションは5ATで価格は567万円。